日本全国の飲食店と食品加工工場をDXで連携・支援するスパイスコードが総額7500万円調達

スパイスコードは10月8日、2019年10月に実施したプレシードラウンド、2020年2月に実施したシードラウンドの資金調達総額が7500万円になったことを発表した。Coral Capitalのほか、アクセス・オール・エリア代表の浜田 岳氏を含む個人投資家の複数名が引受け先の第三者割り当て増資によるものだ。同社は、外食およびフードデリバリー事業者にネット食品OEMサービス「ロカルメオーダー」を開発・運営する2019年8月設立のスタートアップ。現在、100種類を超える食品を受注し、外食およびフードデリバリー事業者に提供中だ。

今回調達した資金は、人材の獲得と組織体制の強化のために投下されるほか、「ロカルメオーダー」のアップデート、新サービスの開発費用に充てられる。

労働時間や賃金などでさまざまな問題を抱える飲食業界だが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響が「対面で食事をする」「大人数で集まって楽しく食事する」というこれまで当たり前だった行動自体が自粛傾向にある状態だ。一部の飲食業は撤退も始めているが、客単価が高く密を避けられる業態への変更、テイクアウト、デリバリーなどに活路を目指している企業もある。

スパイスコードは「飲食業界の持続可能な仕組み」を構築し、業界全体のDXと生産性の向上を実現を目標とする。具体的には、クオリティの担保を前提に調理工程にメリハリをつけ、調理場で注力する工程とアウトソースする工程を選別。日本全国各地に点在する食品加工工場をネットワーク化して、飲食業界とつなぐプラットフォームの開発に取り組んでいる。

同社は本取り組みの第1弾として2020年3月に、時間のかかる仕込み調理などをPB化して調理現場の生産性をアップす るネット食品OEMサービス「ロカルメオーダー」(旧名・スパイスオーダー)の提供を開始。2020年9月末までの間に、ローストビーフや仕込みに時間がかかる煮込み類、各種ソースなど100種類を超える食品を、外食およびフードデリバリー事業者に提供しているという。

スパイスコードCEOの上村友一氏は、過去にレストランでシェフとして働いていた経歴を持つ人物。「仕込み時間に取られる時間が膨大で、朝は始発から夜はいつも終電ギリギリで帰るという状況でした。そんな状況に疲弊して志半ばでこの業界を去る友人も数多くい ました」と当時を振り返る。同氏は「料理人はおいしい料理を作り、来店者と会話をするといった『体験価値向上』に直結する創造的な活動に時間を割くべき」と考え、時間のかかる仕込みをアウトソージング可能にするロカルメオーダーを開発。大手のようなセントラルキッチン化、多店舗によるスケールメリット構築、有名料理店のような高い客単価で経営を成り立たせることが難しい中小の飲食店が、付加価値の高い業務に専念できるよう、さらにサービスを磨いていきたいとしている。

カテゴリー:フードテック
タグ:スパイスコード、ロメカルオーダー、資金調達

画像クレジット:スパイスコード

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TechCrunch Japan

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