日系女性アン・ミウラ−コー氏らにトップVCになる方法を聞いた

ベンチャーキャピリストになるのは極めてに難しい。資金は言うまでものないが、タイミング、経験、 人脈がすべて揃っている必要がある。非公開企業への投資方法、ことに自分自身のベンチャーファンドを立ち上げる方法を体験に基づいて教えてもらえるチャンスはめったにない。

TechCrunch Disrupt SFでは新しいベンチャーファンドであるaCrew Capitalの創業者のテリーザ・ゴウ、Floodgateの共同創業者のアン・ミウラ−コーの2人を招き、女性がトップベンチャーキャピリストになる道のりについて詳しく聞くことができた。

実際、道のりは険しく長く、緻密な計算と忍耐を必要とするものだった。最初の一歩は既存のベンチャーキャピタルのアソシエートの職を得ることだ。これには最低でも大卒の学位と投資銀行などの投資ビジネス分野での数年の経験が求められる。アソシエートの地位に就いた後、ベンチャー投資業務の細部を学ぶためにさらに数年かかる。ここでスタートアップの将来性を見抜き、成長させる力があると業界で認識されるようなれば、ベンチャーキャピルのパートナーに昇格し、自身で資金を集めてファンドを組成できるようになる。

10年近く前にFloodgateを設立したミウラ−コー氏はTechCrunchのインタビューに対し、Charles River Ventures(CRV)でアナリストとしての経験を積み、サイバーセキュリティーについての研究で博士号を取得するために7年かかっていることを述べた。

ミウラ−コー氏はこう語った。

2008年に(Floodgateを)スタートさせたときは、誰もが「新しいベンチャーキャピタルなんて必要ない」と言ったものです。しかし今はスタートアップへの投資が活発化し手段も驚くほど多種多様になっています。スタートアップ投資マーケットへの(参入の)チャンスが拡大したと同時に困難さも増しています…問題はどのようにして自分を差別化するかですね …自分の強みがどこにあるのかを発見しなければなりません。

テリーザ・ゴウ氏はBain & Companyのコンサルタントの後、名門ベンチャーキャピタルであるAccel Partnersのマネージングパートナーを1999年から2014年にわたって務めた。2014年に独立し、ジェニファー・フォンスタッド氏とともに女性が経営するベンチャーキャピルのパイオニアのひとつ、Aspect Venturesを設立した。 先月、2人はコンビを解消してそれぞれ別のベンチャーキャピルを設立することを発表した。フォンスタッド氏はOwl Capitalをゴウ氏はaCrewを設立した。

ゴウ氏は女性ベンチャーキャピリスト最大の資産家だとみなされている。これはいくつかの投資案件が巨大な成功をもたらしたからだ。ゴウ氏は「自分のファンドを立ち上げられるかどうかは人脈だ」という。

今はベンチャーキャピリストになるための道筋はたくさんあります。ただ覚えておかねばならないのは、飛び抜けた会社を発見して投資することだけが投資家としての高い評価を得る方法なのです。すると自分自身でファンドを組成しようとしたとき、(先の投資に関連した)人々はこぞってあなたを適任と認めます。ベンチャーキャピリストといのは、大きなことを成し遂げるとする優れた人々に賭けることです。

もっとシンプルな方法もあると2人はいう。要するにベンチャー投資を始めればいい。しかしこの方法は投資に必要な資金を自由にできることが必要だ。スタートアップを成功させ大手テクノロジー企業に首尾よく売却できた起業家ならそういう資格があるだろう。

ゴウ氏は「アドバイザーやエンジェル投資家としてスタートし、実績を挙げて偉大な投資家になった人々もいます。スタートアップを成功させて資金を得てから自分のベンチャーファンドを組成した優秀な起業家も大勢いることはみなさんもよく知っているとおりです」と語った。

【Japan編集部追記】壇上左からミウラ−コー氏、ゴウ氏、TechCrunchのコニー・ロイゾス記者

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

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