映画人たちが選んだ“その日の秀作ビデオ”を毎日お届けするHyper、ビデオサイト過当競争に勝利するか?

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サイト内部でのキュレーションを伴うビデオ発見プラットホームHyperが今日(米国時間8/26)から、インターネット上の短編ビデオの、毎日のベスト作品を提供するサービスを開始する。

110万ドルのシード資金をAdvancit CapitalやLowercase Capital、Broadway Video Ventures、Freelands Ventures、Mesa Venturesなどからもらった映画プロデューサーのMarkus Gillesと映画撮影カメラマンのJonas Brandauは、今年の初めにベルリンのインディー映画界から足を洗って、Hyperを立ち上げた。

“今はフィルム映画の時代ではなく、インターネットの時代だから、これまでありえなかったほどたくさんの、短編ビデオの秀作が作られるようになったが、その量の増大に比例して、軽薄なクリックベイト*をかき分けかき分けてそれらを見つけるのが、ますます困難になっている”、とGillesは語る。“そういう雑草は今では、ソーシャルメディアのストリームやアルゴリズムによるリコメンデーションにも侵入している。友だちがみんな、それらの犠牲者になっているからだ”。〔*: clickbait, クリックを誘惑する餌〕

たしかに、YouTubeは、丘を転がり落ちるグリズリーを見るには適しているが、もっと知的な作品を見たい人にとっては、それを見つけるまでの時間がたいへんだ。

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そこでHyperは複数のジャーナリストや映画作家を起用して、毎日一人あたり半ダースから1ダース(12編)程度のビデオ作品を自分の目で選んでもらい、それらを、デザイン性のよい“インターネット雑誌”のような形で提供する。

ビデオは、最長でも20分ぐらい、テーマは美味しそうなグルメや、見るのが辛くなる戦場のドキュメンタリーなど、さまざまだ。

Gillesによると、同サイトの目標は、人びとがそれを見て学べたり、感動するようなビデオコンテンツを提供することだ。たとえそれが、目を背けたいような事象であっても。

発表から二日以上経ったビデオはこのサイトから取り去られるので、選択はビュー数やソーシャルな共有数に依存せず、もっぱら選ぶ人の主観にまかされる。

“人間によるキュレーションが絶対に必要な場合が、よくある”、とGillesは述べる。“これまで選んだビデオの中には、非常な優秀作だけど、だからこそ、アルゴリズムが検出できない作品が、多くあるからね”。

ビデオコンテンツのアグリゲーションやキュレーションはとても混雑している分野だが、Gillesによると、彼のチームは映画出身者が多く、ユーザ体験をあくまでも重視するから、これまでのVimeoやYouTubeなどが提供している発見やアグリゲーションやキュレーションのツールに比べると、Hyperの方が優れている。でも、こんなマニアックなサイトが将来大きくなったら、アングラ的なアーチストたちがあまり取り上げられなくなる心配もあるね、きっと。

Hyperは今、iPad用のアプリがあるだけだが、数カ月後にはiPhoneアプリも出す予定だ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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