時間給労働者向けのオールインワンの労働力管理ツールを提供するNowstaが新たな資本を獲得

Nowsta(ノースタ)は、ハイブリッド化が進む労働環境において、雇用主が時間給労働者とより密接に関わることを支援するアプローチでベンチャーキャピタルを魅了した。

同社は米国時間1月19日、GreatPoint Ventures(グレートポイント・ベンチャーズ)が主導するシリーズBで4100万ドル(約46億8500万円)の資金調達を発表し、これまでの資金調達額は5900万ドル(約67億4200万円)に達した。今回の資金調達には、GreatPointの他、VMG Catalyst(VMGキャタリスト)、Rally Ventures(ラリー・ベンチャーズ)、Tribe Capital(トライブ・キャピタル)、既存投資家のGreen Visor Capital(グリーン・バイザー・キャピタル)、Compound Ventures(コンパウンド・ベンチャーズ)、Clocktower Technology Ventures(クロックタワー・テクノロジー・ベンチャーズ)が参加している。

CEOのNick Lillios(ニック・リリオス)氏は2015年にNowstaを設立し、その後1年半をかけて、ニューヨークのフードサービス業者との自身の仕事経験から生まれたこの技術を構築した。時間給労働者の運用の複雑さが同社の技術の着想の源であり、時間給労働の変化についていけない現在の労働力管理ソリューションに対する答えであった、と彼はいう。

Nowstaのウェブとモバイルアプリは、自動スケジュール管理、タイムトラッキング、給与計算、コミュニケーションなどの労働力管理ツールをオールインワンのリソースに統合したもので、信頼できる第三者人材派遣業者が調達した熟練労働者と雇用主をつなぐオンデマンド型労働マーケットプレイスも含まれている。また、ウォレット機能もあり、ユーザーはシフトごとに支払いを受け、将来の稼ぎを確認することができる。

「どの雇用主も臨時労働力を活用し、その隙間を埋めるために1099型労働者(米国における個人事業主)を使おうとしている」とリリオス氏はTechCrunchに語っている。「我々の市場は、必要としている雇用者と従業員をマッチングし、彼らがどのように訓練され、審査されたかを見ることができるので、雇用者は迅速な決定を下すことができます」。

同社は2019年4月に810万ドル(約9億2500万円)のシリーズAを調達し、マーケットプレイスを作るための後押しとなった。世界的なパンデミックが発生したとき、Nowstaは従業員を一時解雇しなければならない顧客と協働を開始し、このリソースによって同社は顧客が従業員を他の仕事に移行させる手助けをすることができたのだ。

リリオス氏は、時間給の仕事が元に戻るとは思っていない。むしろ、より多くの従業員が柔軟性を求め、より多くの雇用主が適応するためのツールやリソースにアクセスできるようになるため、過去2年間に見られたシフトは永続的に続くだろう。

かつてテクノロジーに乏しかったこの市場には、現在、このように十分なサービスを受けていない人々に注目するスタートアップがひしめいている。直近では、従業員の能力を引き出すアプリで3200万ドル(約36億5500万円)のシリーズB資金を調達したAskNicely(アスクナイスリー)について報じた。

その他にも、フロントワーカーが組織で使われているさまざまなITサービスを利用したり、お互いに交流したりするためのアプリ、Blink(ブリンク)などがある。シフトワーカーと雇用主をマッチングするマーケットプレイスのShiftsmart(シフトスマート)は9500万ドル(約108億円)を調達し、メッセージングアプリのWhen I Work(ウェン・アイ・ワーク)は2億ドル(約228億円)という巨額のラウンドに至った。一方、Fountain(ファウンテン)は8500万ドル(約97億1000万円)、Seasoned(シーズンド)は1870万ドル(約21億3600万円)を調達し、レストラン従業員のためのツールを開発した。2022年の初めには、Homebase(ホームベース)が7100万ドル(約81億1100万円)を調達し、ホームサービスのプロに焦点を当てたWorkiz(ワークイズ)が1300万ドル(約14億8500万円)を調達した。

現在、Nowstaの技術は、スポーツスタジアム、ホテル、フードサービス業者、倉庫など600の雇用主で、毎月30万人以上の労働者を管理している。パンデミックの間、より多くのスタジアムやホテルがオンラインに戻り、約1000人の従業員を雇用する必要があったため、Nowstaは最初に数百人の労働者を調達することができた。リリオス氏は「ビジネスに革命を起こし、フレックスワークの新しいモデルを切り開いた」と述べている。

今回の資金調達により、新たに米国内の25の市場に事業を拡大し、年末までに68人の人員を倍増(2021年は25人)し、製品開発や営業・マーケティングに投資することが可能となる。2021年に収益を大きく伸ばした後、リリオス氏は、それを繰り返すことは考えていないものの、2022年の収益は少なくとも3倍から5倍に成長すると予測している。

GreatPoint VenturesのマネージングパートナーであるAshok Krishnamurthi(アショク・クリシュナムルティ)氏は、文書で次のように述べている。「この2年間で、労働市場にパラダイムシフトが起き、時間給やフレックスタイム制がますます普及しています。あらゆる種類の企業が、オンデマンドの労働力に簡単に繋がり、効率的に管理しなければならなくなりました。そのための最も効果的な方法がNowstaであり、ニックとそのチームと提携してこのビジョンの達成を支援できることを、これ以上ないほどうれしく思っています」。

画像クレジット:Marko Novkov/EyeEm / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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