普通の眼鏡をスマートグラス化、スライド式着脱機構「neoplug」。鯖江ブランドを世界規格へ

eng-logo-20151月19日まで開催中の第4回ウェアラブルEXPOより。メガネブランド「JAPONISM」などを擁するボストンクラブは、眼鏡のテンプル(つる)部分に様々なアタッチメントを装着するためのマウント規格「neoplug」の展示を行っています。

neoplugは、テンプルの蝶番付近を凹ませた形状にすることで、対応した形状のデバイスを装着できるマウント機構。装着部分を標準化することで、デバイスメーカーと眼鏡メーカーのそれぞれが、製品開発に集中できるようにするのが狙いです。デバイスの着脱は、たたんだ状態のテンプルにスライドしながら差し込むようにして行います。

Gallery: スライド式デバイス着脱機構neoplug:ウェアラブルEXPO | 15 Photos

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ブースでは、neoplugに対応させた眼鏡にARデバイスなどを装着したサンプル展示を実施。neoplugに正式対応した最初の眼鏡「np-001」も展示しています。

np-001は、テンプル部分にneoplugを採用した点以外はきわめてシンプルなウェリントンタイプの眼鏡。2016年12月、クラウドファンディングサイト「FAAVO」において、目標金額350万円でプロジェクトをスタートし、2017年2月に無事目標を達成。neoplug採用の製品としてリファレンス的な位置付けです。配布資料によれば、ナイロン素材のテンプル内部にチタンの芯を挿入し、フィッティングを容易にしたといいます。市販時期・価格は今のところ未定。

neoplugの構造は非常にシンプルなので、テンプル部分を規格に合致させるだけであらゆるものが眼鏡に装着できるようになります。「Telepathy Jumper」や「picoLinker」など、既存の眼鏡に追加してスマートグラス化するタイプの製品はもちろん、アクションカムやライトなどを気軽に着脱できるのもポイントです。テンプルを交換すれば既存の眼鏡を対応させることもできますが、説明員によれば、長期間にわたって日常的に使う観点から考えて、強度的に難しい素材もあるといいます。

ブースでは、小型ライトやルーペなど軽量なものを眼鏡に装着したサンプルの展示も行っていました。形状的に直接の装着が難しい外部デバイス向けに、マグネット式のアタッチメントも用意しています。

▲ルーペを装着した状態。必要に応じて着脱できる点が特徴

▲歯科医療機器・器具開発会社FTKと共同で開発した歯科専用眼鏡(参考出品)。ARデバイスの装着にも対応。

▲ニデックの網膜刺激型人工視覚デバイスを装着したサンプル(参考出品)。

目標としては世界標準規格になることを掲げています。直近の展望としては、地域活性化の観点から、デバイスメーカーを含めて、同社所在地の「鯖江(市)ブランド」を打ち出していきたいとのことです。

▲ARデバイス「picoLinker」を装着した状態。

ウェアラブルデバイスとしてのスマートグラスと、ファッションアイテムとしての眼鏡のギャップを埋める規格であり、アイデア次第ではいろいろな使い方が考えられます。テンプルの厚みや太さが限定されるという点は少々気になるところですが、強度さえ確保できれば、その点はある程度解消できるでしょう。

眼鏡は日常的に装着する器具ですが、アクセサリーとしての側面もあるので、デバイス側ではなく、眼鏡メーカーがこうした規格を提唱することには一定の意義があるように思えます。特定のデバイスメーカーと組むわけでもなく、眼鏡メーカーとしてはサイズと形状だけを定めて、あとはおまかせ、というのも、落とし所としては妥当な線ではないでしょうか。

neoplugは、ボストンクラブがコンセプトの発表を含めて2年越しで取り組んでいる規格です。素早く、簡単に切り替えられる国内発の機構として、今後の展望が楽しみな一方、規格に賛同する企業をこれからどれだけ獲得できるかも、課題のひとつといえるかもしれません。

▲アルプス電気のセンサネットワークモジュール開発キット。MEMSセンサとBluetoothモジュールのセットで、地軸+加速度(6軸)、気圧、温湿度、照度を測定可能

Engadget 日本版からの転載。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。