暗号化のスタートアップSyndicateは「Web3投資クラブ」サービスでDAOの神秘を解く

この1年、暗号信奉者たちはトークンとNFT(非代替性トークン)によって変容させられたインターネットの上で世界を売ろうとしている。一方、一部の人々は、民主主義を変えて古臭い組織をオンライン時代に合わせて変容する方法としてDAO、即ち分散型自立組織を推し進めてきた。どちらのグループもメッセージの発信と国の法的ガイドラインを相手に戦ってきたが、新規ユーザーを獲得するための技術的課題は、自らDAOを作ろうとする人々が乗り越えなくてはならない大きな壁だ。

Syndicate(シンジケート)は昨年Andreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)から2000万ドルを調達したDAOサービスのスタートアップだ。このほど同社は、DAO設立プロセスを(法的に可能な限り)簡易化することを目指して、新規プロダクトのWeb3 Investment Clubs(ウェブスリー・インベストメント・クラブ)を公開した。このツールを使って、ユーザーは最大99人の参加者を募り、資産を蓄積してその資金をどこに投資するかをグループ内で投票する。

Syndicateの共同ファウンダー、Ian Lee(イアン・リー)氏は、同製品は「コンプライアンスに則り、メンバーのために正しく行動する平安な心」でDAOを作るしくみをユーザーに提供する、とTechCrunchに話した。スタートアップの大きな目標は、こうしたグループを作ることで、トークンやNFTへの投資を「グループ・チャットのように簡単」にすることだ。

“Investment Club”というブランディングは、より多くの人たち(ここでは投資家)のためにDAOの謎を取り除き、従来からの非暗号化金融サービスのような投資手段を考えている人たちに代替手段を提供する取り組みの一環だ。同スタートアップのDAO設定のためのステップ・バイ・ステップのガイドは、暗号資産のベストプラクティスに親しみのない人たちにとって一連のサービスがいかに複雑に絡み合っているかを示しているが、テクニカルな手段の波に乗れさえすればグループを簡単に作れることも表している。

設定のガイドラインに加えて、Syndicateはダッシュボードも提供していて、ユーザーは自分たちの投資クラブの保有資産や過去の活動を閲覧できる。

画像クレジット:Syndicate


Syndicateはこれらクラブを、個々の状況や法的猶予にあわせてユーザーにとって柔軟なものにすることを目指している。適格ユーザーと非適格ユーザー向け、さらには米国内にメンバーをもつDAOについてもそれぞれガイドラインがある。Syndicatehaは、クラブ管理者になる人が知っておくべき基本ガイドライン(たとえば米国内の非適格投資家からなるクラブでは全メンバーが全決議に投票しなくてはならない)を提供するが、実施はエンドユーザーにまかせている。Syndicateのスマート契約書は、クラブを法的組織として登録する手続きを紹介しと、すべてが公正かつ確実に行われるように、銀行口座の設定や納税書類の作成を扱う。

Syndicateは自分たちをDAOインフラストラクチャー・エコシステムの中心として位置づけ、興味をもつユーザーのできるだけ多くにサービスを知ってもらいたいと考えている。このため、この新サービスは無料で、Syndicateは設定にも保守にも、一切費用を請求していない。

関連記事:
Hundreds of Y Combinator alumni join crypto collective to back web3 startups

画像クレジット:TechCrunch

[原文へ]

(文:Lucas Matney、翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。