暗号化チャットのSignalが英国でMobileCoinによる決済機能をテスト中

メッセージを暗号化して送信しているチャットアプリSignalが、そのサービスに決済を加える。それはユーザーが長年待望し、同社自身も開発に時間をかけていた機能だ。英国のみのベータプログラムでユーザーは、暗号資産MobileCoin使って、迅速で容易に、そして特に重要なこととしてプライベートに支払ができる。

英国に住んでたり、住んでることになってる人は、SignalをアップデートするとSignal Paymentsという新しい機能に気づくだろう。利用するために必要なことは、暗号資産の取引所FTXでいくつかのMobileCoinを買ってから、そのウォレットをリンクするだけだ。現在、MobileCoinを扱っている取引所はそこだけだ。

そうしてリンクしたら、同じくウォレットをリンクしている誰かに即座にMOBを送金できる。チャットを送るのと同じぐらい簡単だ。英国以外の国でのベータの予定は、まだ発表がない。

Signal自身はユーザーの送信内容や通話内容にどんな方法でもアクセスできないが、それと同じでユーザーが行う決済も完全にプライベートだ。Signalが数年前から取り組んでいたMobileCoinは、スピードとプライバシーを重視して完全に新しく開発され、ゼロ知識証明システムやその他のイノベーションを利用して、Venmoのように容易でしかしSignal自身のように安全だ。詳しく知りたい人はこの研究論文(PDF)を読もう。

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MobileCoinは2021年3月、この統合が近いという噂の中で、110万ドル(約1億2000万円)ほどの資金を調達した。さらなる噂がMOBの価値を高騰させ、持ってる人はラッキーだったが、これから誰かに食事代の割り勘を払うつもりだった人はアンラッキーだった。突然あなたは友だちにBenjamin(米100ドル紙幣)、今なら英国でTuring(英50ポンド紙幣)を払うはめになり、あるいはランチタイムを過ぎたらそのサンドイッチのお値段が急落していたりする。

もちろん、あなた自身がその通貨を持っていなくてはならないことはないが、毎回安定通貨や法定通貨を換えてもらうのは面倒だ。Signalの共同創業者であるMoxie Marlinspike(モクシー・マーリンスパイク)氏がWiredで、自動交換システムの構想を語っていたが、実際のところ開発中ではないため詳しく語れたのではないだろうか。

暗号資産については悪い評判もあるし、リスクをともなうため、Signalが安全で第三者的なサービスプロバイダーとして開発した善意のシステムも、希釈されたり汚染されるかもしれない。しかしチームは、それは避けられないと考えているようだ。結局のところ、広く利用されている決済サービスがメールやソーシャルメディアのように傍受されていたら、そんなものは芽のときに摘み取り、早急にエンド・ツー・エンドの暗号化へ移行すべきだろう。

カテゴリー:フィンテック
タグ:SignalMobileCoin決算サービスイギリス暗号資産

画像クレジット:Signal

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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