暗号資産取引所コインチェックが国内初IEOを7月1日から開始

日本の暗号資産業界の歴史に、新たなページが加わる。Coincheck(コインチェック)は、2021年7月1日に国内初のIEOプラットフォーム「Coincheck IEO」を開始。第1弾として、Hashpaletteの発行する「Palette Token(PLT)」の購入受付を同日より実施する。

NFT特化型のブロックチェーン「パレット」

そもそもIEOとは「Initial Exchange Offering」の略で、暗号資産取引所が事前にプロジェクトの審査を行った上で、投資家にトークン販売を行うというもの。2017年頃に話題となったICO(Initial Coin Offering)では、投資家がプロジェクトから直接スマートコントラクトを通じてトークンを購入するため、その危険性が度々が指摘されていた。一方でIEOの場合は、暗号資産取引所が設ける一定の審査基準をクリアしたプロジェクトのみが実施できるため、ICOと比較するとプロジェクトの「スクリーニング」がある程度行われているというメリットがある。

今回、国内初のIEOによる資金調達を実施する「Palette(パレット)」は、日本発のマンガやアニメ、スポーツ、音楽といったさまざまなコンテンツをNFTとしてデジタル化して売買できるようにするブロックチェーンだ。現在主流であるEthereumブロックチェーン上では、DeFiやNFTなど多種多様なdAppsが展開されているので「ガス代(手数料)」が乱高下しがちだ。しかしNFT特化型のPaletteであれば、比較的ガス代は安定しやすく、ユーザーにとって利便性が高くなるという。

このPalette上でのガス代を支払うために使われるのが、Palette Token(PLT)だ。ERC20準拠のPLTは、ガバナンストークンとしての側面も持ち、ホルダーはコンソーシアムメンバーにより分散的に運営されるPaletteの運営プロセスに関わることができる。

今回のIEOでは、Palette Tokenの総発行数10億枚のうち2億3000万枚をコインチェックを通じて投資家に販売する。販売価格は1PLTにつき4.05円で、1口1000PLT(4050円)から、最大2400口(972万円)まで申込可能だ。コインチェックによると、売出総額を超える申込みが行われた場合には、抽選により購入者を決定するという。申込期間は7月1日から同月15日で、上場日は7月27日。

Hashpaletteは、東証1部上場で計1000万MAUのマンガアプリ群を運営するLink-Uと、暗号資産交換業向けウォレットシステムなどを提供するHashPortの合弁会社として2020年に設立された。HashPort代表取締役の吉田世博氏は「日本が誇るコンテンツを世界に発信していくために、NFTは強力な武器になる。今回のIEOをきっかけに、NFT専用ブロックチェーンのPaletteをさらに発展させていきたい」と意気込みを語った。

HashPort代表取締役の吉田世博氏

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Coincheck暗号資産日本NFT

画像クレジット:コインチェック

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TechCrunch Japan

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