暗号資産投資家が自信を持って分散型金融の世界を航海できるようにする分析会社Nansenが約13.3億円調達

ここ数カ月、暗号投資家がその野心を市場よりも大きく膨らませている一方で、機関投資家は山のようなブロックチェーンデータを抱え、熟成された分析製品を使わずに、その意味を理解しようと躍起になっている。

ブロックチェーン分析のスタートアップ企業であるNansen(ナンセン)は、暗号トレーダーやヘッジファンドが、より自信を持って分散型金融の世界を航海できるようにするための製品を開発している。同社の製品は、約9000万個のイーサリアムウォレットにまたがるパブリックブロックチェーン情報を分析し、ユーザーに発展しつつある好機へ導く手がかりを提供する。

「Nansenの高品質なデータにより、投資家はスマートマネーがどこに移動しているのか、影響力のある投資家がどのポジションを取っているのかを追うことができます。また、投資する新しいプロジェクトを発見して、デューデリジェンスを行うことができます」と、NansenのCEOであるAlex Svanevik(アレックス・スヴァネヴィク)氏は、TechCrunchにメールで語っている。

このスタートアップは、Andreessen Horowitz(a16z、アンドリーセン・​ホロウィッツ)が主導する1200万ドル(約13億3000万円)のシリーズAラウンドをクローズしたばかりだ。a16zは最近、暗号資産市場を収奪するための22億ドル(約2430億円)もの巨大な暗号投資ファンドを発表している。今回の投資ラウンドには、Coinbase Ventures(コインベース・ベンチャーズ)、Skyfall Ventures(スカイフォール・ベンチャーズ)、imToken Ventures(イムトークン・ベンチャーズ)、Mechanism Capital(メカニズム・キャピタル)、QCP Capital(QCPキャピタル)などが参加した。

Nansenの主な製品は、暗号資産の特定の階層を中心に設計されたダッシュボードのネットワークだ。

非常にホットなDeFi(分散型金融)の分野以外にも、Nansenはラベル付けされたデータベースを活用して、イールドファーミング、リクイディティプール、DEXデータにおける投資機会を見出し、さらにはトレーダーが特にホットなNFTコレクションを探し出すのを支援する。人気のあるダッシュボードの1つである「Token God Mode(トークン・ゴッド・モード)」では、投資家が特定のERC20準拠トークンのブロックチェーンデータを利用し、取引所における長期的な動きや、個々のウォレットでの注目すべき取引を見ることができる。

画像クレジット:Nansen

暗号資産業界は主に個人投資家を増やすことを目指しているため、Nansenの価格設定には、幅広い層の顧客を取り込むための努力が反映されている。同社は、トレーダーがさまざまな市場指標のリアルタイム分析を利用できるように意図された月額116ドル(約12800円)のパッケージを販売している他、週1回の電話相談、専用チャットグループ、業種別説明会など、より細やかなサポートを受けることができる月額2500ドル(約27万6000円)のプランも用意している。

チームは高レベルのデータの一部を同社のサイトで公開しているが、より詳細な最新のデータは有料顧客のネットワークのために取ってある。Nansenの顧客には、Polychain(ポリチェーン)、Three Arrows(スリー・アローズ)、Pantera(パンテラ)、Defiance Capital(デファイアンス・キャピタル)などの暗号資産中心の投資ファンドが含まれている。

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カテゴリー:ブロックチェーン
タグ:Nansen資金調達暗号資産投資

画像クレジット:Nansen

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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