最初の「宇宙製造施設」をSpaceXのFalcon 9ロケットで軌道に運ぶとVarda Space Industriesが発表

宇宙空間に製造施設を建設したいと考えているスタートアップ企業のVarda Space Industries(ヴァルダ・スペース・インダストリーズ)は、2023年に最初の宇宙機をSpaceX(スペースX)のFalcon 9(ファルコン9)ロケットに載せて軌道に打ち上げる契約を結んだと、米国時間10月11日に発表した。

同社が初めて軌道に送り込む宇宙機の現物は、SpaceXのライバル会社であるRocket Lab(ロケット・ラボ)が製造する。Rocket Labは、Vardaのために後に続く2基の宇宙機も製造することになっている。これら3基の宇宙機には、Vardaが製作した2つのモジュール(微小重力下で製造を行うモジュールと、地球に持ち帰るための再突入カプセル)が備わる。

それぞれの宇宙機は、軌道上に3カ月間ほど留まり、約40〜60kgの製造した素材を、再突入カプセルで地球に持ち帰ることを目指している。

Vardaの目標は、宇宙空間でしか持続的に得ることができない微小重力の恩恵を、バイオプリントされた臓器や特殊な半導体などの革新的な材料の製造に活かすことだ。

カリフォルニア州トーランスを拠点とするこのスタートアップは、SpaceXのベテラン社員だったWill Bruey(ウィル・ブリュイ)氏とFounders Fund(ファウンダーズ・ファンド)のプリンシパルであるDelian Asparouhov(デリアン・アスパロホフ)氏が2020年11月に設立。以来、急速に成長してきた。2021年7月に4200万ドル(約47億5000万円)のシリーズA資金調達を発表したVardaは、2023年に2回、そして2024年に3回目の打ち上げを行うという意欲的な打ち上げスケジュールを計画している。

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Vardaの宇宙機は、Falcon 9のライドシェアミッションで打ち上げられる数多くの物体の1つである。宇宙に行くためのコストを顧客間で分散させ、実質的に相乗りで宇宙に到達することを可能にするライドシェア・ミッションは、新しい、そして儲かるプログラムだ。SpaceXは太陽同期軌道に最大200kgのペイロードを送りたい個々の顧客が支払う打ち上げ費用を、100万ドル(約1億1300万円)まで削減することを約束している。

画像クレジット:Joe Raedle / Getty Images

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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