最速0.2秒で翻訳、ネット回線不要のウェアラブル音声翻訳デバイス「ili(イリー)」——ログバーがお披露目

(左から)イオンモールの趙明氏、ビジョンの佐野健一氏、ログバーの吉田卓郎氏、東京地下鉄の小泉博氏

(左から)イオンモールの趙明氏、ビジョンの佐野健一氏、ログバーの吉田卓郎氏、東京地下鉄の小泉博氏

年々、増えている訪日外国人旅行者。街中で突然、質問をされることも多くなってきている。筆者はそのとき、どぎまぎしてしまうのだが、このデバイスの登場によって外国語での質問を恐ることもなくなるかもしれない。

指輪型ウェアラブルデバイス「Ring ZERO」を展開するログバーは1月31日、新たなウェアラブルデバイス「ili(イリー)」をお披露目した。本製品は2016年1月にCESでそのコンセプトなどが発表されていたものだ。

インターネット回線が不要、スムーズに翻訳してくれるデバイスili

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iliは“旅行”に特化したウェアラブル翻訳デバイス。海外旅行でよく使うフレーズにフォーカスした辞書の使用、独自開発の音声翻訳技術「STREAM(ボイス・ストリーミング・トランスレーション)」によって、正確かつスムーズな翻訳が実現。その速度は最速で0.2秒だという。訪日外国人旅行者とまるで直接話しているかのようなコミュニケーションがとれるという。

旅行に特化しているため、商談や交渉といったビジネスシーン、医療現場での使用、また長文や複雑な文章の翻訳はできない。あくまで、海外旅行でよく使う「◯◯へ行くにはどうしたらいい?」といったワンフレーズの翻訳に適したデバイスということだ。

同日開かれた記者会見ではデモ機が用意されていた。そのスムーズな翻訳には驚いたのだが、特筆すべき点はインターネット回線不要で利用できる点だ。翻訳の処理は端末内で行われる。これまでにも翻訳サービスはいくつも登場してきたが、そのどれもがインターネット回線が必要であった。それ故に翻訳にすごく待たされた……という人もいるだろう。

薄く、軽いのも魅力的だった

薄く、軽いのも魅力的だった

しかし、iliはインターネット回線を必要としないため、良質なインターネット環境を確保しなくてもいいし、電波の弱い地域でも安定して使うことができる。

リリース時に対応している言語は日本語、英語、中国語の3カ国後。今後は韓国語、スペイン語、タイ語にも対応していく予定だという。

まずは法人向けにサービスを提供

Ring ZERO同様に個人向けに提供を開始していくかと思っていたが、iliはまず訪日外国人旅行者の受け入れ側であるホテルや商業施設、交通機関といった法人を対象に「ili for Guest」として展開していく。法人が訪日外国人旅行者にiliを渡して使ってもらうというスキームだ。

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料金は1ライセンス(1端末)ごとに月額3980円。使用頻度の高い固有名詞を追加できるカスタマイズ機能や入出力言語を切り替えられる多言語対応機能、翻訳データを抽出できるログシステム機能が使える。

法人はiliを導入することにより、機会損失の削減や顧客満足度の向上、人的コストの削減が期待できる。本日より法人への導入を受け付ける。利用は6月以降になる見込みだ。すでにイオンモール、東京地下鉄(東京メトロ)、ビジョンへの導入の決まっており、今春以降に本格的な活用が始まっていくという。

個人向けは2017年中のリリースを予定。実際に海外旅行使用する…というのは少し先になるが、海外旅行中の悩みの種である“コトバの壁”を感じることは少なくなりそうだ。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。