未来の完璧な自動運転車でもブラックボックスはやはり重要だ…事故はありえるし原因究明のためのデータは必要

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[筆者: Kristen Hall-Geisler]
衝突は通常、運転者のせいにされる…人間のドライバーだ。部品の不良やタイヤの破裂などもありえるが、しかし(データによって数字に多少の違いはあるが)衝突事故の約90%は人間のが犯す間違いが原因だ。しかしさほど遠くない未来に、運転という仕事の多くを車自身が行い、その過程で大量のデータが生成されるようになると、事故の原因を明確に突き止めることが困難になる。そしてそのデータは、ブラックボックスに記録される。

2014年の9月から、今後新たに製造される旅客車両にはブラックボックスの搭載が義務付けられた。でも実際には、この法令の前からブラックボックスのある車の方が多かった。その公式な名称はevent data recorder(EDR)(ドライブ・レコーダー)と呼ばれ、スピードやブレーキ使用、エアバッグの装備状態、シートベルトの着装の有無などをセンサーを使って読み取り、ループに記録する。Consumer Reports誌によると、EDRは衝突の直前の約5秒と、衝突後の正確に1秒を捕捉する。

今では車が搭載しているセンサーの数がとても多くなり、ますます多くの情報が集められる。TuxeraのファウンダーでCTOのSzabolcs Szakacsitsによると、彼の会社が自動運転車用に提供しているブラックボックスは、16のセンサーからのデータを同時に記録し、タイヤの空気圧やカメラの画像、レーダーのデータ、運転者のプロフィールなどの情報を捉える。だから衝突時には、ブラックボックスが、シートベルト着装の有無や、そのとき聞いていたラジオ局などを教えてくれる。

Szakacsitsによると、車の自律性が増すとともに、搭載されるセンサーの数が多くなり、それらのデータを記録し、保存し、読み出すためにブラックボックスが必要になる。センサーはたとえば、前後の他車との距離、路上マーク、交通標識、ライト、人間など、その車にまつわるいろんなデータやオブジェクトを捉える。

TuxeraはEDRの記録装置としてフラッシュメモリ上のファイルシステムを使っている。衝突でEDRへの電力供給が途絶えても、記録されているデータは失われない。“事故がありえる自動車の上では、その中のアプリケーションに使われるソフトウェアの各部位は、ロバストでなければならない”、とSzakacsitsは述べる。“データの保存状態が良くてフェイルセーフであることがきわめて重要だ。たとえば、ダッシュボード上のカメラにコマ落ちがあってはいけない。事故時にはその画像や映像が重要な情報だからだ”。

車の運転が完全に自動運転になる将来には、衝突の原因が再び明確になるだろう。乗っている人間は道路に対してまったく注意を払わないが、運転を担当している自動車自身は人間よりも衝突の頻度が低いと想定される。いや、少なくともそれが理想だ。でも、未来がそれほど輝かしくないこともありえるから、Tuxeraは、2020年の自動運転消費者カーに搭載されるブラックボックスの、ソフトウェアを開発しているのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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