“本気で起業目指す社会人”向けに2ヶ月間の支援プログラム、VCのデライトとアプリコットが共同実施へ

ベンチャーキャピタル(VC)のデライトベンチャーズアプリコット・ベンチャーズは12月24日、2020年2月から実施予定の社会人向け起業支援プログラム「Springboard」のエントリー受付を開始した。

このプログラムでは「3ヶ月以内の起業を決めており、具体的に準備を進めている社会人」や「半年以内に本気で起業する覚悟を持つ社会人」を対象に、平日の夜や週末を使って2ヶ月間に渡り事業のブラッシュアップや会社設立支援などを実施する。

最大で6プロジェクトを受け入れる予定で、デライト・ベンチャーズでプリンシパルを務める永原健太郎氏、アプリコット・ベンチャーズでジェネラルパートナーを務める白川智樹氏、WiLでパートナーを務める難波俊充氏がメンターとしてそれぞれ最大2社ずつを支援するという。

メンターを務める3人のキャピタリスト

隔週でゲストVCや先輩起業家との相談会や交流会を実施するなどコミュニティへのアクセスをサポートするほか、スタートアップ支援に強いバックオフィスの専門家の紹介やコワーキングオフィスの提供なども行う。プログラムの最後にはディー・エヌ・エー代表取締役会長の南場智子氏など著名起業家やVCを招いたデモデイを実施し、資金調達交渉の機会もセッティングするそうだ。

今夏にスタートしたデライトベンチャーズはDeNAをLP(有限責任組合員)とする独立系VC。もう一方のアプリコット・ベンチャーズはサイバーエージェント出身の白川氏が2018年1月に立ち上げたVCで、大手企業や事業会社からスピンアウトした起業家を中心に複数社へ出資してきた。

起業を志す社会人を積極的に応援しようというスタンスは両社に共通するもの。過去に南場氏をゲストに招いて実施した起業家向けの交流会が盛況だったこともあり、共同で今回のプログラムを実施するに至ったという。

ちなみにデライトベンチャーズでは以前から「Springboard」という名称で、主にDeNAの社員を対象に事業案へのアドバイスや会社設立・資本政策などをサポートする取り組みを行ってきた。

同社によると、このプログラム経由で生まれたDeNA卒業生創業のスタートアップに出資した事例も出てきているそう。今回は「起業のハードルをとことん下げ、起業することを当たり前のキャリアパスにしたい」という思いの実現に向けて、この仕組みを社外にも広げていきたいという考えもあるようだ。

近年、創業後のスタートアップを対象としたアクセラレータープログラムは充実してきているが、起業前の“起業家予備軍”とも言える人たちの背中を押すプログラムはまだ少ないというのが両社の見解。所属する企業で事業経験はあったとしても、登記や労務などバックオフィス関係の知見がなかったり、VCや起業家などスタートアップコミュニティと繋がりがなかったりすることは多い。

事業に対するアドバイスはもちろん、こうした「いざ起業しようと思った時や実際に起業した際につまづきがちなポイント」や「(関係者とのネットワークなど)資金調達や提携など事業が好転するきっかけとなる接点」を創業前から提供していこうというのがSpringboardの特徴だと言えるだろう。

なお同プログラムの応募期限は1月17日(金曜日)までとなっていて、書類審査後に面談を実施して採択プロジェクトを決める。プログラムは2月5日のキックオフからスタートし、最終日の3月28日にデモデイを開催する計画だ。

デモデイには南場氏のほか、Spiral Venturesの千葉貴史氏、STRIVEの堤達生氏、Archetype Venturesの福井俊平氏などがゲストとして参加する予定とのこと。また別日に実施する先輩起業家の交流会には「フリル」や「ANGEL PORT」などを立ち上げてきた起業家・エンジェル投資家の堀井翔太氏らが参加するという。

アドバイザリーを務める起業家・キャピタリストの面々

投稿者:

TechCrunch Japan

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