本物の人間そっくりに答えるAI音声アシスタントでカスタマーサービスを自動化するPolyAI

PolyAIが、シリコンバレーのKhosla Venturesがリードする投資ラウンドで1400万ドル(約15億4000万円)を調達した。参加したのは、これまでの投資家であるPoint72 VenturesとAmadeus Capital、Sands Capital Ventures、Passion CapitalそしてEntrepreneur Firstとなる。これは同社の1200万ドル(約13億2000万円)のシリーズAに次ぐもので、主に米国のチームとスタッフの増員に当てられる。同社の調達総額は、これで2800万ドル(約30億7000万円)になる。

PolyAIは同社製の音声アシスタントを使ってカスタマーサービスを自動化する。同社によると、それは本物の人間のように聞こえるという。それによって企業は、まるで人間が話しているような音声オペレーターを安上がりかつ人数に制限なく利用でき、さらに顧客の待ち時間を減らし、顧客の満足度と定着率を上げることができる。

共同創業者のNikola Mrkšić(ニコラ・ムルクシッチ)博士によると「私たちの技術を技術用語でいえば、それは『マルチターンの会話的AI』となります。しかし実際には、すべての通話者がやることは、人と話すようにそれに話しかけることだけです。これまでのコールセンターに比べると私たちのアシスタントは顧客満足度を40%向上させ、対応時間を最大で5分間減らします」。

「競合他社と比べると、私たちはこのシステムをとても迅速に開発しています。弊社のトランスフォーマーをベースとする言語理解モデルと、基盤となる対話管理プラットフォームにより、このようなユーザー体験を2週間から4週間で実装しています」。

「PolyAIは、BERTやGPT-3のような最新世代の大規模な訓練済みのディープラーニングモデルを実際のエンタープライズプロダクトで使っている最初のAI企業の1つです。そのため彼らは、自動化AIエージェントをわずか2週間でデプロイでき、音声アシスタントの旧来のプロバイダーが古い技術のデプロイに最大で6カ月は要していたことと比べて、極めて対照的だです」とVinod Khosla(ビノッド・コースラ)氏は声明で述べている。

 

ケンブリッジ大学からスピンアウトしたPolyAIによると、パンデミックでコールセンターの人手不足になり、多くの企業がスマートボイスアシスタントをデプロイするようになったため、それは、最初から開いてるドアを開けるような楽な営業だった。消費者はタイプするよりも話すことを好むため、チャットボットと同等に比較することはできない。

Landry’s傘下のGolden Nugget Hotels & CasinosのBrian Jeppesen(ブライアン・ジェプセン)氏は「通話の40%ほどを扱ってくれればよい、と思っていましたが、立ち上げ初期から80%、2週間後には87%になりました。AIエージェントを人間だと思っているお客さんも多い。音声アシスタントは失敗しないし、24時間365日稼働しているので、それはすばらしいことです。こんなエージェントなら、もっとたくさんいてもいいね」という。

競合他社は、最近Microsoftが買収したNuanceやIsoft、Interactions、SmartAction、Replicantなどとなる。しかしPolyAIの主張では、同社の音声アシスタントは起動が早く、また対応言語も多く、分単位の料金となっているという。

同社の共同創業者は、CEOのニコラ・ムルクシッチ博士とCTOのTsung-Hsien Wen(ツォンシェン・ウェン)氏、そして技術部長のPei-Hao Su(ペイハオ・スー)氏で、2人はSteve Young(スティーブ・ヤング)教授の下で博士論文に取り組んでいるときに出会った。ヤング教授は音声対話システムのリーダーであり、SiriやGoogleアシスタントやAlexaのような音声アシスタントを支えている多くの技術の開拓者だ。

PolyAIの最近のクライアントには、Landry’s Entertainment、Greene King、Starling Bank(スターリング銀行)そしてViasatなどがいる。

画像クレジット:PolyAI

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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