東南アジアは世界で三番目に大きいインターネット市場だ…Googleらの調査報告より

東南アジアは今や、世界で三番目にインターネットユーザーが多い地域だ。そのオンライン人口はアメリカの全人口よりも多く、インターネットが地域に与える影響も、思った以上に大きい…Googleらが共著した最新の報告書が、そう言っている。

アジアの新興経済が話題になるときは、中国とインドがもっぱら取り上げられる傾向があるが、インターネットが人びとの生活を変えて新しい機会を作り出しつつある市場としては東南アジアが急速に脚光を浴びつつある。これまではデータが少なくて、そのポテンシャルを特定することも困難だったが、しかしGoogleとシンガポールの政府系ファンドTemasekが今日(米国時間12/12)リリースした、当時から多く参照された2015年の‘e-Conomy SEA’報告書の改訂版は、成長が当初の予測を超えていることをとくに強調している。

その最初の報告書は、2025年における東南アジアのインターネット経済の規模を2000億ドルと予測していたが、新しい報告書は、2017年には500億ドルに達しており、その成長率を2025年に延伸すれば2000億を超える、としている。

当地域におけるインターネット上で最大の支出項目である旅行関連は、2015年の191億ドルから2017年には266億ドルに飛躍している〔下図下から二番目の色分け〕。しかし成長率が大きいのは、eコマース〔下図いちばん下の色分け〕とライドシェアサービス〔下図いちばん上の色分け(黒)〕だ。

ここでのeコマースは中古品や消費者間取引を含まないが、2015年から2017年にかけての成長率が41%で、2017年には初めて100億ドルを超えている〔下図〕。そしてこの報告書の予想値としては2025年に880億ドルに達し〔下図〕、上記4分類の中では最大の項目になる〔上図〕。

UberとGrabが東南アジアのライドシェア市場を争っている中で、ご当地ユニコーンのGo-Jekは地元インドネシアを超える拡大をねらっており、そのことが今回の報告書の数字にも反映している。

すなわちライドシェアサービスへの支出は2年間で倍増以上となり、2017年には50億ドルを超えた〔下図〕。そして2025年の予測は200億ドル超、その額は最初の報告書では130億ドルだった。

東南アジア最大の経済圏インドネシアが最大のシェアを握ると思われるが、具体的な数字を挙げている2015年の報告書では、その売上シェアを40%超としている。

さらに旅客数については、2015年から2017年にかけて4倍超増〔下図左〕(2017: 600万/日)、ドライバーの数も同じく4倍超増〔下図右〕(2017: 250万)、としている。

このほか、以下のような所見もおもしろい:

  • 東南アジアにおけるモバイル上のインターネット時間は1日平均3.6時間で、世界最長。最長はタイの4.2時間、次位がインドネシアの3.9時間だ。アメリカは1日2時間、イギリスは1.8時間、日本は1時間だ。
  • 毎月のネットショッピング時間は140分。東南アジアの人びとがeコマースのマーケットプレースで過ごす時間はアメリカ人のほぼ2倍である。当地域のeコマースの市場規模は2025年で881億ドルだ。
  • ライドシェアサービスの一日の利用者数は2017年で600万人〔上図〕、東南アジアにおけるこの業態は2025年の売上が201億ドルとなり、2015年の4倍である。
  • 東南アジアのスタートアップは2016年以来、120億ドルあまりを調達した。それはGDPの0.18%に相当し、インドと並んでインターネットのポテンシャルへの信任は厚い。

報告書の全文はここにある

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。