検索結果ページで歌詞を紹介するGoogleは今後歌詞提供者のクレジットを明記へ

今週初めに、いろんな曲の歌詞をたくさん集積しているGeniusが、Googleを同サイトからコピーした歌詞を検索結果の中で無断流用していると非難した。GeniusはWall Street Journal紙(WSJ、ウォールストリートジャーナル)によって同社サイトへのトラフィックが減った、と言っている。Googleは最初、間違ったことは何もしていないと主張していたが、その後、問題を調査中であると述べ、その紛争を本日のブログ記事で取り上げている。その中で同社は、検索結果の情報ボックスの中の歌詞を提供しているサードパーティのパートナーの帰属(attribution)を、今後は含めるようにする、と言っている。

Googleが最初にWSJの取材を受けたとき、検索ページに表示される歌詞はパートナーからライセンスされたもので、Googleが作ったコンテンツではない、と言っている。しかし曲の検索結果のページの上部に表示される情報ボックスやカードの中の歌詞の一部には、モールス符号を使ったGenius特有の透かし模様がときどきある。Geniusはこれまで2年間、この件で何度もGoogleにコンタクトしたという。たとえば4月にGoogleに送った書簡は、そのやり方はサイトの利用規約に違反しているだけでなく、反トラストの法律にも違反している、と責めている。Googleなどの大手テク企業は、それでなくても政府の規制当局から反トラストで捜査されているから、それは重大な嫌疑だ。

WSJの記事のあとGoogleは声明で、この問題は調査中であり、やり方が良質でない歌詞提供者とは今後協働しない、と言った。

今日のブログ記事では、Google検索のグループプロダクトマネージャーSatyajeet Salgar氏がこう言っている。「会社は歌詞を表示する権利に関して音楽の出版者に支払っている。ソングライターのために歌詞の権利を管理しているのが彼らだからだ」。しかし音楽出版者の多くが歌詞のテキストをサードパーティの歌詞コンテンツプロバイダーからライセンスしているので、Googleは彼らとパートナーすることになる。(訳注:歌詞プロバイダーに協力するクラウドソーシングな書き起こし屋さんが多数いる。歌詞が最初から音楽商品に付随している場合も、それらの一般的な提供業務は既存音楽業界のどこも担当してない)。

Salgar氏は曰く、「たくさんのWebサイトをクロール(crawl、はいまわる)したりスクレープ(scrape、こそげる)したりして歌詞を得ているわけではない。検索ページの情報ボックスに出る歌詞は、歌詞コンテンツのプロバイダーから直接来ている。定期的に修正や新しい歌詞を受け取っているので、それらの歌詞は自動的に更新されている」。

そんなパートナーのひとつが、Googleが2016年に協定を結んだLyricFindだ。LyricFindのCEOはWSJに、歌詞をGeniusから得ていない、と言っている。

Salgar氏のブログ記事は社名を挙げていないが、紛争に関してはこう書いている。「今週のニュース記事によると、われわれの歌詞コンテンツプロバイダーのひとつが、彼らの歌詞の出所をめぐって、ある歌詞サイトと争議を起こしている。われわれはパートナーに問題の調査を求め、彼らのやり方が業界のベストプラクティスに確実に従っているようにしてほしい、と言っている」。

今後Googleは、検索結果のページに歌詞を提供したプロバイダー企業の帰属を含めるつもりだ。Salgar氏は曰く、「これからも権利保有者を尊敬し報酬が支払われるようなやり方を続けていく。音楽出版者とソングライターは彼らの作品に関し確実に支払われるべきである」。

Geniusは2009年にRap Geniusという名前でローンチし、Googleとは一貫して仲が悪い。2013年には検索結果の上位に自分を置くためにRap Geniusが使ったSEOの手法に、Googleのウェブスパム対策チームが文句をつけた。Googleは仕返しとして、Rap Geniusのリンクをほかの検索結果のページの下に置いた。その喧嘩は2週間足らずで解消したが、その間はRap Geniusのトラフィックが激しく落ち込んだ

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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