楽天は何故Vikiを買収した? 米TechCrunch共同編集長がTechCrunch Tokyoで両社にインタビュー

また1つ、11月12日のTechCrunch Tokyo 2013のセッションが確定したのでお知らせしたい。楽天がGoogleとYahooを押しのけて2億ドルで買収した、コミュニティによる字幕付きビデオサイト「Viki」の共同創業者でCEOであるRazmig Hovaghimian氏が来日して、TechCrunch Tokyoに登壇いただけることとなった。そして、Vikiを買収した楽天の側からも取締役常務執行役員の百野研太郎氏(国際部担当役員)にご登壇いただき、公開インタビューというトークセッションをお届けしたい。インタビューするのは、このイベントのためにやってくる米TechCrunch共同編集長のAlexia Tsotsisだ。百野氏は、VikiやKobo、Wauki.tvなどグローバルなデジタルコンテンツビジネスを担当しているとのことなので、楽天のグローバル戦略とVikiの買収について話を聞くことができるだろう。

Vikiは、2つの理由で注目のスタートアップだ。

1つは、アジア(シンガポール)発のスタートアップ企業を日本のネット企業が200億円と言われる規模で買収したこと。ふだんTechCrunchをご覧頂いている方は、その金額にさほど驚かないのかもしれないが、アジア圏からシリコンバレーに匹敵する規模のスタートアップ企業の買収例が出たというのは特筆すべきことだろう。Vikiの設立は2007年で、2010年にベータ版を終了して一般公開というから成長スピードも速い。Viki上では韓国ドラマや日本アニメといったコンテンツが人気で、アジアやヨーロッパを中心に利用が伸びたが、やがてグローバルな市場に広がりつつあるという市場への浸透も、これまでのシリコンバレーやハリウッド中心だった情報・エンタメ産業のイノベーションの広がり方とは違う傾向として注目だと思う。

もう1つは、Vikiがグローバルなオンライン動画コンテンツ流通市場という、これまで存在しなかった市場を生み出したこと。VikiはVideoとWikipediaを合成した造語から付けられた名前で、同サイトには160言語以上の言語のボランティア翻訳者が集まり、テレビ番組や映画、ニュースなどの商業コンテンツに字幕をつけている。これまでに累計325万語が翻訳され、視聴回数は15億回を突破しているという。Vikiはコミュニティが活発で、字幕だけでなくドラマのエピソードごとにコメントがたくさん付けられていたり、ニコニコ動画のようにシーンごとに感想が流れたり(ただし画面中ではなく画面の上部に控えめに)もする。


Vikiでは、これまで国境を超えて出て行くことがなかったようなテレビ番組が、誰も想像しなかったような国で消費されているのだという。例えば、本国の韓国で鳴かず飛ばずだった韓国ドラマが字幕付きでサウジアラビアで受け入れられてヒットしたりするようなことが起こっている。日本のアニメ、ボリウッド(インド)映画、インドネシアのホラー映画、ブラジルのテレビ小説、トルコ、エジプトのドラマなど、Viki上のコンテンツの85%はハリウッド以外で制作されたもの。日本、韓国、台湾などの人気コンテンツは40〜90もの言語に翻訳されているという。翻訳のスピードとクオリティは従来のパッケージメディアの流通をしのぐという。例えば、医療ドラマの場合、数百人からなる各言語の翻訳グループの中には、実際に医療業務従事者を探してきて翻訳チェックを行うようなこだわりで翻訳に望む人たちがいるという。ボランティアで翻訳で行う動機は、語学学習の一環としてという人や、コンテンツの熱狂的ファンだからなどさまざま。Vikiで生み出された字幕付き映像は、HuluやNetflixのような商業動画サイトへ転載されることもあるといい、ある意味では「逆流」が起こっている。

コンテンツ制作者は、もはや自国市場だけを対象にする必要がなく、Vikiを通してグローバル市場でコンテンツをマネタイズしていくことができる。経済産業省によれば、映画・テレビ番組、音楽、マンガなど日本のコンテンツの海外輸出比率は5%と極めて低いが、中でも日本のテレビ番組の輸出比率は、わずか0.15%にすぎない(PDF)。こうした伸びしろの部分を、Vikiはメディアパートナーとともに、すくい取っていくことができそうだ。

Vikiの破壊的なビジネスモデルは興味深いが、これを楽天が買収して何をしたいのか? というところには、もっと興味をそそられる。ご存じのように楽天は、2011年11月にカナダの電子書製端末・販売サービスを手がけるKoboを3億1500万ドルで買収している。百野氏には、グローバル化の加速するコンテンツビジネスという視点から楽天の戦略を語って頂けるものと思う。

さて、すでに発表しているとおり、TechCrunch Tokyo 2013では、Airbnb(Ole Ruch)氏、Tinder(Sean Rad氏)、Bitcasa(Brian Taptich氏)Weebly(David Rusenco氏)Disqus(Daniel Ha氏)などの講演を予定している。まだ登壇者を公表できていない講演もあるが、早割チケットの締め切りが今週10月31日木曜日に迫ってきたので、参加をご検討頂いている方は是非前もってチケットをご購入頂ければと思う。全てのトークセションが予定されているイベント2日目の11月12日火曜日には、スタートアップ企業がデモとプレゼンでプロダクトを競い合う「スタートアップバトル」の決勝戦も行う。すでに書類審査を通過した25社が予選へ向けて準備中なので、こちらにも期待してほしい。

TechCrunch Tokyo 2013間もなく開催! チケット購入はこちらから→

なお、会場でプロダクトをお披露目したいスタートアップ向けにはブース出展も、まだ若干数受け付けている。以下のリンクからお申し込み頂ければと思う。

TechCrunch Tokyo 2013 ブース出展のお申し込みは、こちらから→


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。