楽曲の所有権をNFTとして販売、ファンがロイヤリティを受け取れるようにする音楽マーケットプレイス「Royal」

音楽とNFTを結びつけて、ユーザーがマーケットプレイスで曲の所有権を買えるようにし、人気が出るとロイヤルティを得ることができるスタートアップへの投資を、Founders FundとParadigmがリードした。

Royalというスタートアップは、「3LAU(ブラウ)」という名前で活躍するEDMアーティストのJustin Blau(ジャスティン・ブラウ)氏と、住宅購入スタートアップ「Opendoor」の共同設立者であるJD Ross(JD・ロス)氏が主導している。ブラウ氏は、NFTコミュニティの中でも特に積極的に活動している人物で、ミュージシャンが暗号資産を利用して作品を収益化する方法を模索する目的で、数多くの新興企業を立ち上げてきた。新型コロナの蔓延によりツアーができなくなってからは、本格的にNFTに取り組み、「クリエイターからすべての価値を奪うプラットフォーム」の力関係を逆転させる方法を探していたという。

Beepleの作品がクリスティーズで6900万ドル(約75億8000万円)で販売され、世の中の人がNFTという言葉を初めて知ったときから数週間も前に、ブラウ氏は自らの記録を作っていた。特製の曲とアートワークを収めたセットが、1170万ドル(約12億9000万円)相当の暗号資産で売れたのだ。

今回のRoyalの投資発表は、CryptoPunksやBored ApesなどのコミュニティNFTプロジェクトに投資家が数億ドル(数百億円)相当の暗号資産を投じるなど、NFT市場の強気の動きが熱を帯びてきた頃に行われた。デジタル作品をブロックチェーン上に置くことに関心のあるビジュアルアーティストは、ここ数カ月の間に、自分のアートを収益化するプロセスを簡素化するためのプラットフォームが数多く登場し、成熟してきているが、ミュージシャンに焦点を当てた取り組みは少なかった。

ParadigmとFounders FundはRoyalの1600万ドル(約17億6000万円)のシードラウンドをリードし、これにロス氏が最近までゼネラルパートナーだったAtomicが参加した。ロス氏と一緒にOpendoorの共同創業者だったKeith Rabois(キース・ラボイス)氏が、Founders Fundの投資をリードした。

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Royalのローンチの詳細やプロダクトの計画は、まだ情報がとても少なく、その分割資産の販売をいつ始めるのかもわからない。しかし最初はブラウ氏の音楽が中心になることは明らかだろうし、彼が音楽業界に占めていた地位がファンや投資家を惹きつけるだろう。ユーザーは今からでもアーリーアクセスでサインアップできる。

NFTのスタートアップはより複雑な所有権分割を追究して、クリエイターたちが成功をファンと共有できるようにする。しかしその複雑さが、規制当局がいずれ介入する原因になるという、さまざまな憶測を招いている。2017年のICOブームでは、多くの創業者たちがSECから書簡をもらって証券詐欺を非難されたが、今回も起業家たちはそれを避けるために相当な努力が必要だ。ブラウ氏によると、同社は法律顧問と密接に協力して、コンプライアンスの完全な達成を目指しているという。

同社にとってもっと大きな課題は、音楽の権利を買うためのアクセスを確実に民主化して、ファンの全員を幸福にし、新しいファンをどんどん作っていくことだ。暗号資産への投機はとても多様化しており、そのための努力が難しい。でもブラウ氏によると、音楽のロイヤリティの所有権の拡散はまだ改良の余地が極めて大きく、現在、目立つのは一般ファンではなく、レーベルやプライベートエクイティ集団やヘッジファンドだ。

「投資家が嗅ぎつけるよりもずっと早く、ファンが所有権を握ることが重要です。アクセスの民主化が、NFTのような暗号資産の未来の鍵を握っている」とブラウ氏はいう。

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画像クレジット:Royal

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(文:Lucas Matney、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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