機械学習のフィーチャーストアTectonがオープンソースの同サービスFeastを併合

機械学習のフィーチャーストアという概念を開拓したTectonが、Feastと呼ばれるオープンソースのフィーチャーストアプロジェクトの創業者とチームを組んだ。そして米国時間4月15日、同社は、オープンソースツールのバージョン0.10のリリースを発表している。

「フィーチャーストア」は、Tectonの創業者たちがUberのエンジニアだったときに考えたコンセプトだ。その後、Willem Pienaar(ウィレム・ピエナール)という名前のエンジニアが創業者のUberのブログ記事を読んでフィーチャーストアの構築について知り、そのコンセプトのオープンソースバージョンとしてFeastの構築に着手した。

Tectonの共同創業者でCEOのMike Del Balso(マイク・デル・バルソ)氏は次のように説明する。「Tectonは、フィーチャーストアを産業界に持ち込んで、最上級のエンタープライズフィーチャーストアを作ることが狙いだ。それに対してFeastはウィレム(・ピエナール)が開発したもので、私たちがUberで公開した初期の設計からヒントを得たようだ。彼が作ったFeastは、オープンソースのフィーチャーストアのスタンダードのようなものに進化し、今ではLinux Foundationの一部となっている」。

Tectonはその後ピエナール氏を雇用し、現在、彼は同社のエンジニアとしてそのオープンソースチームを率いている。同社最初の事業計画にはオープンソースのプロダクトはなかったが、今では2つのプロダクトが密接な関係にある。ピエナール氏の雇用も、理に適っていた。

「2つのプロダクトは多くの点でとてもよく似ている。類似性があって両者が共生している、ともいえるだろう。意図的な整合作業は一切必要ない。Tectonのプロダクトは、Feastにあるもののスーパーセットだ。先進的な機能が多いTectonはいわばエンタープライズバージョンで、一方Feastには実戦で鍛えられたオープンソースのフィーチャーストアがある」とピエナール氏はいう。

TectonはシリーズBで3500万ドル(約38億円)を調達した。それを報じる本誌2020年12月の記事では、フィーチャーストアについて「それはエンド・ツー・エンドの機械学習管理システムであり、そこにはデータを特徴量というものに変換するパイプラインと、それら特徴データのすべてを保存して管理する機能、および整合性のあるデータ集合をサーブする機能がある」と説明している。

デル・バルソ氏によると、ビジネスとして見た場合には、オープンソースのフィーチャーストアに寄与貢献すると会社がこれまでとは違うユーザーグループに知られることになり、また商用製品とオープンソース製品が互いに補い合って作られていく。

「私たちが気に入っている非常に強力なものとは、Feastのコミュニティに深く入り込むことによって、極めて多様で興味深いユースケースから多くを学び、Tectonのプロダクトを改良できることだ。また同様に、エンタープライズの顧客から得たフィードバックでオープンソース製品を改良できる。それは一種の交叉学習であり、フィードバックのループが理想的に回っている」とデル・バルソ氏は語る。

計画ではTectonが、Tectonの中でFeastに専念するチームへの主要なコントリビューターであり続ける。本日、同社はそのプロダクトのバージョン0.10をリリースする。

カテゴリー:人工知能・AI
タグ:Tecton機械学習

画像クレジット:Andriy Onufriyenko/Getty Images

原文へ

(文:Ron Miller、翻訳:Hiroshi Iwatani)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。