機械学習のモデルをデバイスごとに最適化してスピードを上げるOctoMLがシリーズBで30億円相当を調達

シアトルのスタートアップOctoMLは、オープンソースのコンパイラーフレームワークプロジェクトApache TVMを利用する機械学習の加速化プラットホームを提供している。同社は今日(米国時間3/17)、AdditionがリードするシリーズBのラウンドで2800万ドルを調達したことを発表した。以前からの投資家であるMadrona Venture GroupとAmplify Partnersもこのラウンドん参加し、これで同社の調達総額は4700万ドルになった。同社のこの前の調達は2020年の4月で、そのときはAmplifyがリードするシリーズAのラウンドが発表された。

TVMの作者たちがTVMを商用化するために作ったOctoMLは、デベロッパーが持ち込んだモデルのパフォーマンスを、使用するクラウドやエッジデバイスに合わせて最適化する。OctoMLの共同創業者でCEOのLuis Ceze氏はブラジル出身で、氏によるとシリーズAを調達してから同社は、一部のアーリーアダプターを同社のSaaSプラットホーム「Octomizer」へオンボーディングしてきた。


画像クレジット: OctoML

氏によると、「まだアーリーアクセスだが待機者リストへの登録はすでに1000名近い。今回の資金調達に踏み切ったのは、それも大きな要因だ。シリーズBは先買であり、新株も含め既存の株が対象ではない。私たちは、新たな資金の調達を開始するタイミングを計画していた。シリーズAの資金は、今ごろやっと支出を開始したばかりで、ほとんど残っている。でも今は成長が急激で有料顧客も予想より多いから、市場開拓や、顧客成功チームの編成、エンジニアリングチームを拡張して新しい機能を作っていくなど、新たな資金を要する課題が至近距離内に見えてきた」、という。

Ceze氏によると、TVMの周辺にも強力な成長の兆しがあり、昨年はバーチャルカンファレンスに約1000名が参加した。同社の顧客ベースは、待機者リストに載ってる企業も含めて、非常に多様な業界にまたがっている。防衛産業や金融サービス、ライフサイエンス、自動車会社、そしてさまざまなスタートアップなど、きわめて多種多様だ。

また、OctoMLは最近、顧客でもあるMicrosoftや、Qualcomm、AMDなど業界の大物と組んでオープンソースのコンポーネントの構築と、同社のサービスをもっと広範なモデルに対して最適化する作業に取り組んでいる。広範なモデルという言葉には、もっと大きなモデルという意味も含まれている。

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エンジニアリングという点ではCezeによると、これまでのようにモデルの最適化とチューニングだけでなく、訓練の工程も視野に入れている。MLのモデルの訓練は、あっと言う間に費用がかさむから、その工程のスピードアップは節約に貢献する。だからそれは、OctoMLにとっても売りやすいサービスだ。Ceze氏によると、この方面でのプランは、人びとが自分のMLの訓練とその結果としてのモデルを最適化できる、エンドツーエンドのソリューションを提供し、そしてそれらのモデルを彼らが選んだプラットホームへプッシュする。今現在、そのユーザーはOctomizerが作る出力を自分でデプロイしなければならない。しかしそのデプロイのサポートはすでに、OptoMLのロードマップにある。

Additionの創業者であるLee Fixel氏が、投資家としての見方を語る: 「LuisとOctoMLのチームに初めて会ったとき、彼らがMLのモデルのデプロイのやり方を変えようとしていることが分かった。彼らにはビジョンがあった。そして大企業に対してもMLの変化を推進できる才能と技術もあった。6か月前にOctomizerをローンチしてからは、デベロッパーやデータサイエンティストたちがMLのモデルのパフォーマンスを上げようするとき必ず使うソリューションになりつつある。同社の今後の成長をサポートしていくことが楽しみだ」。

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(文:Frederic Lardinois、翻訳:Hiroshi Iwatani)

画像クレジット: VCG/VCG/Getty Images

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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