歩き方を即興で変えることのできる昆虫ロボットは本物の昆虫そっくりだ

昆虫の動きを真似しようとするプロジェクトはたくさんあるが、コンピューターとロジックにとって苦手(にがて)なのは、どんなに小さな単純な虫にもある、即興的な適応能力だ。Tokyo Tech(東京工業大学)のこのプロジェクトでは、ロボットが実動時に、人間がプログラミングしていない歩調を作り出す。

この研究のリーダーLudovico Minatiが、ニューズリリースに興奮した口調で書いている: “この研究のおそらくもっともエキサイティングな瞬間は、われわれが設計もしなかったし予想もしてなかった現象や歩調をロボットが示すことを、われわれが目撃したときだ。のちに、そのような動きは実際の昆虫にもあることが分かった”。

1000種類の状況のどれかに瞬間的に反応する、きわめて複雑なAIやパターンジェネレーターをプログラミングすることは、できるだろう。しかし、ひと粒の砂ぐらいの大きさの脳しかない虫が新しい状況に素早くスムーズに適応できるのなら、人間が作るものも、もっとシンプルでアナログな方法であるべきだ。

さまざまなパターンがさまざまな歩調を作り出す。違ってるようには見えないかもしれないが、明らかに違っているのだ。

Minatiはそれを追究し、そして彼の六脚ロボットは、たしかにシンプルなアプローチだ。中枢のパターンジェネレーターがマスターシグナルを作り、それをアナログの配列が解釈して、脚を動かすオシレーターへ送る。5つの基本的パラメータのうちの一つを変えるだけで配列の回路の構成が変わり、実際の歩調を作り出す。

“このコントローラーの重要な特徴は、大量の複雑性をごくわずかな数のパラメータへ凝縮していることだ。それらを、ハイレベルのパラメータと見なしてもよい。なぜならそれらは、歩調やスピード、姿勢などを明示的にセットするからだ”、とMinatiの同僚の一人Yasaharu Koikeは語る。

適応性と信頼性のある動きを作り出すために必要なハードウェアとソフトウェアを単純化できれば、小さなロボットの製作も容易になり、また、それらの未知の環境への展開も可能になるだろう。このプロジェクトを記述しているペーパーは、IEEE Accessに発表されている。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa

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TechCrunch Japan

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