気分に合わせてパーツの組み合わせ変更できるメガネを販売するPair Eyewearが約13.3億円調達

Pair Eyewear(ペア・アイウェア)が、シリーズAラウンドで1200万ドル(約13億3000万円)の資金を調達した。この会社は、メガネをかけている子供や大人にとって、そのメガネが「自己表現の1つの形」になることを目指していると、同社共同CEOのSophia Edelstein(ソフィア・エーデルシュタイン)氏はいう。

ともにCEOを務めるNathan Kondamuri(ネイサン・コンダムリ)氏と同社を設立したエーデルシュタイン氏は「メガネには多額の費用がかかるので、他の身につける物とは違って、その選択に制限があります」と言及している。

Pair Eyewearは、メガネを2ピースのアンサンブルにすることで、より高い柔軟性を実現した。処方されたレンズを含む基本となるベースフレームに、マグネットで取り付けられるさまざまなトップフレームを組み合わせることができるので、ユーザーは好きな時に交換して新しいスタイルを楽しめる。

「ある日は派手に、そして次の日には控えめにしたりすることが可能です」と、エーデルシュタイン氏は語る。

このスタートアップ企業は、毎月3種類ずつトップフレームの限定コレクションを用意したり、「Marvel(マーベル)」や「Harry Potter(ハリー・ポッター)」、NBAチームなどと提携して、ブランド化されたトップフレームも製作している。

「私たちのお客様は平均5個のトップフレームを所有していますが、その範囲は驚くほど広いのです」と、エーデルシュタイン氏はいう。「中には90個以上持っている方もいて、自宅の冷蔵庫をすっかり覆ってしまっているほどです」。

今回の資金調達は、Javelin Venture Partners(ジャベリン・ベンチャー・パートナーズ)のAlex Gurevich(アレックス・ガービック)氏が主導し、Norwest Venture Partners(ノーウェスト・ベンチャー・パートナーズ)、Precursor Ventures(プリカーサ・ベンチャーズ)、Gingerbread Capital(ジンジャーブレッド・キャピタル)、NFL選手のChristian McCaffrey(クリスチャン・マカフリー)氏、MasterClass(マスタークラス)のCEOであるDavid Rogier(デビッド・ロジエ)氏などが参加した。

Pair Eyewearの取締役会に参加するガービック氏は、このアイデアが彼自身の心に響くものだったと、筆者に語った。彼はかつて、当時4歳だった息子に乱視用のメガネをかけるよう説得することに苦心し「これをかけるとクラーク・ケントみたいになるよ」と息子に言ってようやく成功させたことを思い出したという。

「数週間後、チームと会ったとき、彼らは文字通りスパイダーマンとスーパーマンのメガネを見せてくれました」と、ガービック氏は語った。「私は『子供にメガネをかけるように説得するのに苦労したんだ! もしこれがあったら、すぐに上手くいっただろうね』と言いました」。

ガービック氏は、Pair Eyewearのチーム(「ソフィアとネイサンが、永続的で象徴的な消費者ブランドの構築にどれほど情熱を注いでいるかということに圧倒されました」)と、ビジネスモデルにも感銘を受けたという。つまり、これは「プリンターとインクカートリッジ、ヒゲ剃りの替刃のように、リピート率の高い用品モデル」をメガネに持ち込むことに成功した最初の試みだと思われると、同氏はいう。

Pair Eyewear創設者のソフィア・エーデルシュタイン氏(左)とネイサン・コンダムリ氏(右)

Pair Eyewearの価格は、ベースフレームがレンズ込みで60ドル(約6630円)で、トップフレームを追加するごとに25ドル(約2760円)となっている。医療費免税制度の口座からの支払いにも対応し、ネットワーク外の視力保険の給付金として払い戻しを受けることも可能だが、エーデルシュタイン氏によると、メガネの価格は平均300ドル(約3万3200円)を大きく下回るため、多くの人は気にしないという。

この料金設定は、独自の製造方法によるコストダウンと「業界標準」の利益幅を排除することで実現しているという。

「それでも私たちは、ベースフレームとレンズに信じられないほどのマージンを確保しています」と、彼女は語る。

2020年3月にTV番組の「Shark Tank(シャーク・タンク)」に出演して(資金を受け取って)以来、Pair Eyewearは前月比で30%の成長を遂げている。これは、このビジネスが「不況に強い」ことを示しており、たとえそれがZoom(ズーム)のビデオ会議で見せびらかすためであっても、あるいは家で楽しむためであっても、人々はカスタマイズ可能なアイウェアに興味を持っていると、エーデルシュタイン氏は主張する。

Pairは当初、子供用のアイウェアに注力していたが、現在では販売の60%が大人用になっているという。5種類が用意されているベースフレームは、もともと子供用にデザインされたもので、実際に大人に合うものはそのうちの2つだけであるにもかかわらずだ。今回の資金調達によって、チームは製品ラインアップの拡大を続け、特にそうした大人向けの選択肢を増やすことができると、エーデルシュタイン氏は語っている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Pair Eyewearメガネ資金調達

画像クレジット:Pair Eyewear

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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