決算で予想を上回ったAppleの株価が下落し, 下回ったAmazonが上がったのはなぜか?

[筆者: Howard Lindzon]
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編集者注記: Howard LindzonはStockTwitsの協同ファウンダでCEOだ。ここはトレーダーや投資家のためのソーシャルネットワークで、アイデアや情報をリアルタイムで共有し合っている。彼の履歴はここ、Twitter上では@howardlindzonへ。

この質問への答をぼくが持っていたら、人生は最高だ。その答への反応が前もって分かっていたら、最高のそのまた上だね。

AmazonとAppleの決算報告直後の株価が互いに逆方向に動いたのは、予想と見通しの問題だ。ウォール街はAppleに対する予想が高すぎ、Amazonに対しては‘別の’予想を持っていた。ウォール街がAppleに期待したのは、‘粗利率’の伸びだ。Amazonに対しては‘利益額’の伸びを期待しなかった。馬鹿げて聞こえるかもしれないが、Appleの決算報告で利益が低く粗利率が大きかったら、株は急騰したかもしれない。今日のAmazonの決算報告で記録的な利益が発表され、利益率は低下傾向を維持していたら、ウォール街は恐慌になったかもしれない。

市場の言葉は独特だから、一般人には理解しづらい。でもそれが、ウォール街の流儀なのだ。スペイン語も中国語も簡単に学べる言語だったら、今ごろはすべてのアメリカ人がそれらを喋れるだろう。株式市場を動かしている大きな要因は、需要/供給、企業の収益、予想、そしてムードだ。しかし金融メディアは見だしネタを求める。ぼくは25年間、投資や株の売買をやってきたが、結局、生き残るコツは恥ずかしいほど平凡、リスク管理だ。最良中の最良と言われるものは、つねに50%の確率で最悪だ。

AppleとAmazonは、最近の少なくとも10年株を持ってた人にとっては、すばらしい投資先だった。Appleはこのところずっと、ウォール街の醜いアヒルの子だった。Appleに関しては、ムードが冷えていた。あの、世界最大で世界でもっとも稼ぐ企業が今や、海図なき海を航行している。ウォール街は突然、Appleの収益や利益率や成長率を予測する方法を失い、お手上げになった。ましてや、これから1年先のムードなんて闇の中だ。でも、でも、…、彼らはトライするだろう。そして、必ず何らかの予想を立て、スプレッドシートに向かう。

Appleを持ってる人(ぼくも)は現金残高や収益〔の健全さ〕を見て、市場は操作されているかまたは壊れていると宣言する(ぼくはしない)。ウォール街は、今のAppleの利益額を織り込まなくなった。先行き見通しが、良くないのだ。Appleでは成長率が数値で低下率を表せるほどまでに鈍化したが、でもこの大きさの企業ならありえることだ。しかしウォール街は、成長の鈍化とGoogleやSamsungから仕掛けられる競争が、ダメージになることを懸念している。Appleはこれまでウォール街に、とってもたくさんのサプライズを与えてきたから、Appleに関しては(Jobs語の)マジックが規準になってしまった。そのAppleがだるくなった今、彼らは安全な逃げ場を求める。

一方Amazonは、ウォール街のアナリストたちの‘利益(額)’指向からすり抜けることができた。Jeff Bezosは手品のような手口で、ウォール街の目が売上の伸びとマーケットシェアとクラウドと、そして今日の発表の…利益率に行くように仕向けた。Amazonは24.1パーセントの利益率を報告し、そしてそれはウォール街をハッピーにする数字だった。

来四半期は、変わるかもしれない。でもぼくは、AppleとAmazonの粗利率方向に視線を維持するだろう。利益額がまた持て囃されるようになるまでは。…ということだな。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

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TechCrunch Japan

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