没入型ゲームをプレイ・作成したり、それプレイ以外の時間も過ごせる「ソーシャル」なプラットフォームRec Roomが急成長

ユーザーが作成したゲームコンテンツのプラットフォームで大ヒットしたRoblox(ロブロックス)に続き、また別のスタートアップ企業が、没入型体験を目的とした独自のユーザー生成プラットフォームを構築するために、大規模な資金調達を行った。無料でダウンロードして遊べるクロスプラットフォームのソーシャルゲーム会社Rec Room(レック・ルーム)は、1億4500万ドル(約165億円)の資金を調達した。

この資金は、モバイル機器、ゲーム機、PC、VRヘッドセットで独自の体験を生み出すツールの継続的な開発と、それを利用するゲーマーを増やしていくために使用される。なお、対応するOS / プラットフォームは、iOS、Xbox(エックスポックス)、PlayStation(プレイステーション)、Oculus(オキュラス)、Steam(スチーム)、そして8月時点ではAndroid(アンドロイド)となっている。

今回の資金調達は、Coatue Management(コーチュー・マネジメント)が主導し、既存投資家のSequoia Capital(セコイア・キャピタル)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、Madrona Venture Group(マドローナ・ベンチャー・グループ)が参加。同社の評価額は35億ドル(約4000億円)に達している。

この評価額は、2021年3月にSequoiaの主導により1億ドル(約114億円)を調達した際の12億5000万ドル(約1400億円)と比較すると、大幅に上昇している。この間、Rec Roomは非常に印象的な成長を遂げてきた。3月には200万人がゲームをプレイ / コンテンツを作成していたが、現在のユーザー数は3700万人に達しているという。

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今回の資金調達が行われた背景には、Rec Roomが大きく成長し、規模を拡大していることに加え、VRや没入型体験、そして特にこれらのメディアでユーザーを惹きつけるコンテンツ(またはコンテンツのための手段)を構築している企業が、突如として多くの注目を集めるようになった現在の状況がある(確かに、これまでは不便なVRヘッドセットを使用したり、その他の先鋭的な技術に投資するほど、魅力的なコンテンツがなかったことが問題だった)。

Rec Roomは、いくつかの意味において「ソーシャルゲーム」の会社だ。興味深いことに、Rec Roomの成長の鍵は、ゲームを作成したり、他の人が作成したゲームをプレイしたり、ルームに参加して一緒にプレイしたりする機能(これがおそらく最も明白な「ソーシャル」な側面)だけでなく、ユーザーがゲームプレイ以外の時間を過ごすためによく使われる仮想のソーシャルスペースを提供する能力にある。

Rec Roomは、Facebook(フェイスブック)などの他のプラットフォームにゲーム体験のソーシャルな側面を依存していた他の多くのソーシャルゲーム企業とは異なり、すでにバーチャル結婚式、ビジネスミーティング、よりカジュアルな会合などに利用されているという。これらの活動は、新型コロナウイルスの大流行と、その影響による実際の社会的な会合や旅行が減少した結果、さらにバーチャルな発展を遂げたものと思われる。Rec Roomは、初心者と経験豊富なゲーマーのどちら対しても、多様な体験を提供しているため「Rec Life(レック・ライフ)」というコンセプトは、どちらの層のユーザーにとっても非常に参入障壁が低くなっている。

2016年にシアトルで設立されたRec Roomは、創業から約5年間、他の多くのヒットしたソーシャルゲームの特徴である、急成長と急落を(少なくとも今のところは)避けている。現在は獲得した3700万人のユーザーが、他のユーザーと仮想的に一緒に過ごす「ルーム」でゲームを作ってプレイしている。同社によると、このプラットフォームにはすでに約1200万ものルームが存在するという。

この3700万人という数字のうち、どれだけアクティブユーザーがいるのかは不明だが、Rec Roomによると、毎月のユーザー数は2020年(2020年11月以降)から約450%増加しており、中でもその成長を牽引するモバイルユーザーは、同期間に10倍に増加したという。

「Rec Roomが、ミニゲームの小規模なコレクションから、コミュニティによって構築された何百万もの体験を提供するグローバルなプラットフォームに成長する過程を目の当たりにすることは、すばらしい体験でした。このプラットフォームは、人々が集まって有意義なつながりを築き、コミュニティを構築し、創造性を共有することができる場となっています」と、Rec Roomの共同設立者兼CEOであるNick Fajt(ニック・ファイト)氏は、声明の中で述べている。「やりたいことはまだたくさんあります。私たちは2022年に向けて、より多くの体験を構築し、新しいプラットフォームに拡張し、クラス最高の信頼性と安全性のシステムに投資し、クリエイターツールを拡大し続けることを、非常に楽しみにしています」。

同社は現在、収支の数字を一切公表していないものの、3月には同社のプラットフォームでゲームクリエイターに約100万ドル(約1億1400万円)を支払っていると発表していた。

「Rec Roomが創作した友達と一緒にゲームを作って遊べる世界に、我々は魅了されました」と、Coatue ManagementのMatt Mazzeo(マット・マッツェオ)氏は、声明の中で述べている。「スマートフォンからVRまで、何百万人ものプレイヤーがRec Roomに集っています。デジタルの世界をより楽しく、より没入感のあるものにするチームとパートナーを組めることに、我々は興奮しています」。

画像クレジット:Rec Room

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(文:Ingrid Lunden、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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