海上で魚の食欲を即時判定して給餌を完全自動化、ウミトロンが魚群食欲解析システムを開発

UMITRON(ウミトロン)は8月14日、海上自律型の魚群食欲解析システム「UMITRON FAI(Fish Appetite Index)」を開発したことを発表。これは機械学習によって魚の餌食いをリアルタイムで自動評価するアルゴリズムで、愛媛県愛南町に導入済みの同社開発のスマート給餌機「UMITRON CELL」と連携することで、養殖事業の効率化を図ることが可能になる。

具体的には、魚の遊泳データを自動蓄積→リアルタイムで摂餌状況をスコア化→スコアに応じた給餌制御を実現する。同社によると、水産養殖では生産コストの大半を給餌が占め、これまでは洋上に浮かべた生け簀に生産者が毎日にように船で近づき、魚の様子を見ながら給餌する必要があった。魚の生育管理には知識や経験値が必要なため、少人数で養殖事業を展開している場合は、生産者の負担が大きかったという。UMITRON FAIとUMITRON CELLを利用することで、リアルタイムかつ自動で適切な無人給餌が可能になるとのこと。

UMITRON CELLでは、魚が給餌している様子を撮影し、その動画から魚の状態を自動的にスコア化する。これを現場担当者が後からスコアの良し悪しを基に給餌量を調整。そのほか、生育期間中の魚の摂餌状況の時系列データや、複数の生け簀同士での餌食い状況も比較できる。

UMITRON FAIのデータを基に考案した給餌改善計画は、スマートフォンを使ってUMITRON CELLの給餌スケジュールに反映できる。同社による、UMITRON CELLのみでは給餌調整のために洋上作業が時間が必要だったが、UMITRON FAIによりこの時間が不要になるほか、短期間で給餌変更のトライアンドエラーも可能になるとしている。

これらのシステムを活用して同社は、水産現場における社内での知見の資産化、洋上作業を減らすことによる労働環境の改善、無駄餌の早期発見を通した海の保全、魚の早期成長や給餌コストの最適化による経営改善をサポートしていくとのこと。同社ではすでに、UMITRON CELLを利用する既存ユーザー向けにベータ版の配布を開始。また、給餌船などの養殖向け大型設備にUMITRON FAIをはじめとした同社のソフトウェアを連携するパートナーの募集も開始している。

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TechCrunch Japan

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