海外にいるアジア人同士のためのマッチングアプリ「EastMeetEast」が資金調達

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北米でアジア人向けマッチングアプリを提供するEastMeetEastは、500 Startups Mobile Collective Fund、East Ventures、iS GS インベストメントワークス、ディー・エヌ・エー、メルカリのファウンダー山田進太郎氏から資金調達を行ったことを本日発表した。金額は公開されていないが総額1億円以上という話だ。EastMeetEastのファウンダーは、以前ロンドンに拠点を置く教育用モバイルアプリ「Quipper」の共同創業者兼COOを務めた時岡真理子氏だ。時岡氏はニューヨークに拠点を移し、2013年11月にEastMeetEastを創業した。2014年8月にはディー・エヌ・エー、システムソフト、エウレカベンチャーズなどから50万ドルを調達している。EastMeetEastのこれまでの経緯と今後の展望について時岡氏に話を聞いた。

欧米では、パートナーと出会うのにインターネットやアプリのマッチングサービスを利用することが一般的になっているという。Tinderやmatch.comなどが有名だが、これらのサイトには多くの人が登録しているため、価値観の合う人を見つけるのが難しいのだという。海外ではそれを解消するため、ユダヤ人やインド人同士が出会うためのバーティカルなマッチングアプリが増えてきていると時岡氏は話す。そんな中でアジア人向けのマッチングアプリがなかったため、EastMeetEastを立ち上げるに至ったという。大手のマッチングアプリでは大枠でアジア人としか検索できない場合が多く、東アジア、東南アジア、さらにはインドの人まで一緒に検索結果に表示されてしまうという。これはパートナーを見つけたいと思っているが、仕事に忙しく時間のない人にとって非効率的な仕組みだと感じていたという。

EastMeetEastはアジア人が同じ人種やバックグランドの人を探しやすいよう設計していると時岡氏は説明する。例えば、人種や言語、さらには移民した年齢などを細かく検索する機能がある。また、欧米人はパートナー選びに目の色や体格などに注目する傾向にあるが、アジア人の場合は学歴や職歴を含め、安定した生活をしているかどうかに注目する傾向にあるそうだ。EastMeetEastではそれに合わせて、お見合いの釣書のようにプロフィールの項目内容を充実させているという。

昨年のサイト登録者数は前年度の7倍に増え、最近では月に30%から40%伸びているという。ユーザーの属性としては20代後半が一番多く、EastMeetEastのマッチング効率は大手マッチングサイトより20倍良いと時岡氏は話す。「共通の価値観を持っていることが重要なようです」と時岡氏は言う。それは特にマッチングのメッセージ交換にも表れているという。日本人のユーザーだったらメッセージのやりとりでラーメンの話が良く話題に上るといったように、双方のユーザーの出身国に関する話や食べ物の話が良くされているそうだ。同じ出身国同士であれば文化的な背景も理解でき、共通の話題も多いだろう。EastMeetEastでは効率的にそういった人と出会えることが、ユーザーの満足度につながっていると時岡氏は説明する。今後は、さらにマッチング後のコミュニケーションのきっかけを増やすために共通の趣味や話題を見つけやすくするコミュニティー機能などの仕掛け作りも行っていくと話す。

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East Meet East iosアプリ

今回の資金調達の目的は、機能の充実と北米市場での認知度を上げることと時岡氏は話す。具体的には、機械学習で相性の良いユーザーを紹介する機能を開発しているそうだ。EastMeetEastではこれまでも週に1回、属性の近いユーザーを紹介する機能を提供してきた。これはアクティブ率を40%高める効果があるという。今後は機械学習でさらに詳細な属性の解析をすることでレコメンドの精度を上げ、ユーザー満足度を高めたい考えだ。また、これまでウェブ版とiOSアプリを展開してきたが、今後はよりモバイルアプリの開発に注力し、ゲーム性を持たせた機能開発などを行っていく計画という。

北米で認知度が上がれば、ゆくゆくはアジアでもサービスを展開していきたいと時岡氏は話す。アジアの国にアジア人同士のマッチングアプリというコンセプトで参入するのなら、その地域にある競合のマッチングアプリとの優位性がなくなってしまうようにも思える。それについて時岡氏は北米市場での集まったアプリ開発の知見を活かした上で参入する切り口を検討していると話す。また、アジアではまだまだマッチングアプリを利用することに抵抗を感じている人も多く、複数プレーヤーが参入する余地はあると考えていると話す。

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TechCrunch Japan

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