海外送金サービスのWiseが「根拠のない」不正告発をされたとブラジルの元銀行パートナーを非難

国際的な送金サービスで有名になり、IPOを計画中と報じられているロンドンに本社を置く企業Wise(ワイズ)は、ブラジルの元銀行パートナーが同社に詐欺の疑いがあると主張し「中傷キャンペーン」を行っていると非難している。この詐欺の疑いについて、Wiseは「虚偽であり、根拠がない」と述べている。

ブラジルのMS Bank(MSバンク)とWiseの間における舌戦は、Wiseが2021年1月にブラジル中央銀行から独自のFX事業免許を取得したため、MSバンクとの提携は間もなく終了することになった後で始まったようだ。その翌月である2021年2月、MSバンクは予告なしにWiseとの契約を打ち切り、独自の送金サービス「CloudBreak(クラウドブレーク)」を開始すると顧客に伝えた。

銀行のパートナーを失ったWiseは、ブラジルのコリドーを一時的に停止せざるを得なくなった。現地時間3月12日、Wiseは独自のライセンスのもと、ブラジルレアル(BRL)から米ドル(USD)へのコリドーを再び開設することができたが、その後、事態は一転した。

同日に顧客に送られたメール(今週初めにTechCrunchに提供された)の中で、MSバンクはWiseが顧客口座を介して詐欺行為を行っていたと主張している。この主張は、YouTubeの動画やMSバンクのウェブサイトに掲載された文章でも繰り返されており、顧客の口座とブラジル中央銀行に登録された取引方法の食い違いに焦点を当てている。

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Wiseは、その後のブログ記事で、記録された取引方法の不一致について詳細かつ堅実に説明し、不正行為を明確に否定するとともに、MSバンクが「中傷キャンペーン」を行ったと主張している。

TechCrunchに提供された声明の中で、Wiseはこの非難が「元パートナーが発売した競合商品に対する認知度を高めるためにタイミングを合わせたもの」であり「当社はブラジルやその他いかなる国の規制当局または機関によるWiseに対する調査や告発も認識していません」と述べている。そして「当社は顧客データおよび / または資金を利用したいかなる詐欺的または不適切な活動にも責任がないことを確信しています。Wiseはこの問題に対処するために法的手段を講じています」と、このフィンテック企業は続けた。

以下はWiseの声明全文だ。

ここ数週間、Wiseはブラジルの元ビジネスパートナーによる中傷キャンペーンの対象となっていました。この告発は、元ビジネスパートナーによる競合商品の発売を意識させるタイミングで行われました。当社はブラジルやその他いかなる国の、いかなる規制当局または機関も、Wiseに対する調査や告発を行っていることを認識していません。

Wiseは、世界中の1000万人以上のお客様のために、事業の透明性と安全性に対するコミットメントを維持しています。当社は顧客データおよび / または資金を利用したいかなる詐欺的または不適切な活動にも責任がないことを確信しています。Wiseはこの問題に対処するために法的手段を講じています。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Wise銀行ブラジル

画像クレジット:MS Bank

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(文:Steve O’Hear、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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