消費者向けテクノロジーの新時代

世間はパンデミック一色だが、TechCrunchはスタートアップ世界の明るい話題を探し回っている。特にいろいろな状況にも関わらず実際に資金が流れている事柄に着目している。

D2Cの将来

先週の初めに、私たちはトップD2C投資家へのサーベイを行った。苦労しているセクターリーダーはいるものの、彼らは極めて楽観的であるように見えた。例えば、以下のものはLightspeed Venture PartnersのNicole Quinn(ニコール・クイン)氏が、投資家の活動と現在の投資状況を比較して述べたものだ。

私が主張しているのは、投資家たちが最近のいくつかのIPOのユニットエコノミクスを見て、それが全てのD2Cにも当てはまると考えるのは弱気過ぎるということです。実際には、美容のように製品マージンが90%を超える企業が多い分野や、Rothy’s(ロシーズ)のように口コミ効果の高い真のブランドがある分野があり、そうした分野では平均よりもはるかに優れたユニットエコノミクスが、不公平なほどの優位性を企業に与えています。

サーベイへのその他の回答者としては、Lerer HippeauのBen Lerer(ベン・ラーラー)氏とCaitlin Strandberg(ケイトリン・ストランドバーグ)氏、NorthzoneのGareth Jefferies(ガレス・ジェフリーズ)氏、Betaworks VenturesのMatthew Hartman(マシュー・ハルトマン)氏、Initialized CapitalのAlexis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏、AccelのLuca Bocchio(ルカ・ボッキオ)氏などが含まれる。

またサーベイとは別に、TechCrunchのConnie Loizos(コニー・ロイゾス)はAlexsis Ohanian(アレクシス・オハニアン)氏への個別インタビューを行っている。

不動産テックは(さらに)リモートになる

TechCrunchのArman Tabatabai(アルマン・タバタバイ)は、数カ月前に不動産ならびに不動産テック分野の投資家サーベイを実施したが、物理空間の将来が現在直面している問題を考慮すると、今回のウイルス問題を取り込んだ更新版が必要とされている。Dreamit VenturesのAndrew Ackerman(アンドリュー・アッカーマン)氏による明快な説明は次のとおりだ。

住宅の家主や不動産管理者をターゲットにしたスタートアップが、大いなる勝ち組になる可能性があります。テナントをより快適な場所にする住宅用のテナントアメニティプラットフォーム(例:Amenify)や、メンテナンス依頼の自動化(例:TravtusAptly)、メンテナンス自体の簡素化(例:NestEgg)、あるいは荷物の受け取りなどのオペレーションを楽にしてくれるビジネス(例:LUXER ONE)などが、突如上位に意識されるようになりました。

VCの投資家たちは「私に考えさせるな」とよく口にしますが、現在私たちは新型コロナウィルス(COVID-19)が私たちのポートフォリオにとって何を意味しているかを真剣に考えている最中です。なのでもし私たちが通常よりも投資の決断をすることが遅くなっても仕方がないと思って下さい。とはいえ、私たちの最高のリターンの中には、困難な時期に行われた投資からもたらされたものもあるという事実は強く認識しています。幸い、私たちはどんどん考えを進めています。

消費者向けテクノロジーの新時代

大勢の人間が自宅に留まっていることに、SaaS企業が新たな成長の機会をみているのは当然のことだ。しかし、仕事以外には何が行われているのだろうか?TechCrunch記者のJosh Constine(ジョシュ・コンスティン)は、自宅パーティーの復活、人気のソーシャルネットワークへのZoomの統合、およびその他のトレンドをまとめて、全体像をエレガントに説明している。ソーシャルツールがこれまで皆が期待していたようなやり方で本当に使われているのだ!

自慢することが何もないときのソーシャルメディアとは何だろう?私たちの多くが、それがはるかに楽しいことに気が付きつつある。私たちは、ソーシャルメディアを競争の場にしてしまっていたが、プレーの喜びを全身で受けとるのではなく、ずっとスコアボードを見つめていたのだ。しかし、ありがたいことに、Zoomには「いいね!」の数はない。永続的なものは残されない。これにより、私たち意思決定を頻繁に支配する、外部からの批評から解放されるのだ。どのように見られるかを気にするものではなく、どのように感じられるものかになり始めたのだ。それは私を安らかな気持ちにさせるだろうか、笑わせるだろうか、あるいは私の孤独を和らげてくれるのだろうか?やってみればよい。読書したり、入浴したり、あるいはボードゲームをプレイしたりするために家にいても見逃すものはないので、もうFOMO(fear of missing out、なにかを見逃すのではないかという脅迫観念から繰り返しSNSなどをチェックしてしまうこと)に怯える必要はない。自分の好きなことをしよう。

詳細な内容はTechCrunchのこの記事で確認してほしい。そして次に、これが向かっている場所、つまり仮想世界!?に関して私たちがまとめている記事を読んでほしい。TechCrunchのコラムニストであるEric Peckham(エリック・ペッカム)は先月の8部構成のシリーズでこの広大なトピックを分析し、先週にはTechCrunchの社内インタビューに応じて、今回のパンデミックが現在のトレンド与える影響をどのように見ているのかを説明した。

1年間で20億人以上の人々がビデオゲームをプレイしている。その意味で、市場への浸透度には驚くべきものがある。しかし、少なくとも私が米国のデータを見る限りでは、特定の日にゲームをプレイする人口の割合は、特定の日にソーシャルメディアを使用する人口の割合よりもはるかに低いままだ。

ゲームがソーシャル化し、ゲームプレイの目的を超えて人がたむろするための仮想世界になればなるほど、携帯電話で何かをできる5分の空き時間を、ソーシャルおよびエンターテインメントへの接点としての仮想世界に目を向ける人間は増えるだろう。ソーシャルメディアが、こうした人生のちょっとした空き時間を埋めてくれるのだ。MMOゲームは今のところそのような存在ではない。現在のゲームはゲームプレイに集中するようにデザインされているため、時間がかかるし、途切れずに集中する必要があるからだ。友達とたむろしながら探検を行うことができるRobloxのような仮想世界は、ユーザーの時間をInstagramと直接奪い合うことになる。

パンデミックにより一部のSEM価格が下落

TechCrunch記者のDanny Crichton(ダニー・クライトン)は、データサイエンティストとして、テクノロジーセクター全体で100を超えるユニコーンを分析し、パンデミック/景気後退によってそのキーワードの広告価格がどのように変化したかを調べた。

驚くべきことではないが、ほとんどすべての広告の価格が落ち込んでいる(いくつかの非常に興味深い例外を除く)。しかし、オンライン広告のパフォーマンスにおけるスタートアップ企業間のばらつきは、フードデリバリーやエンタープライズソフトウェア業界、そしてGoogle、Facebook、その他のデジタル広告ネットワークの長期的な収益パフォーマンスについて多くを語っている。

クラウドアイスクリームコーン画像

大規模テック企業は、スタートアップを支援するためにもっと多くのことをすべき

私が言いたいのは、強力な開発者向けプラットフォームを提供することに加えて、ということだ。TechCrunchのJosh Constine記者は、圧倒的優位な企業の課すホスティングとそれに関連する費用は、社会貢献として、あるいは自分自身のエコシステムを潰してしまわないように、徴収を見送られるか支払いを猶予されるべきだと訴えた

Google、AmazonそしてMicrosoftたちは家主なのだ。コロナウィルスによる経済危機の中で、スタートアップは家賃の支払いを猶予される必要がある。彼らは現金不足に陥っている。収益の流入が止まり、ベンチャー融資のような資本市場にはためらいがあるために、スタートアップや中小企業は、膨大な数の従業員を解雇したり、事業停止を行うリスクに直面している。一方、ハイテク大手は十分な現金を所有している。この10年間の成功が意味しているのは、嵐を数か月は乗り切ることができるということだ。だが彼らの顧客にはそれはできない。

その一方で、スタートアップ世界に対して友好に振る舞わない既存勢力から、マーケットシェアを奪おうと狙う中規模のスタートアップにとっては、今こそ良いチャンスなのだ。

その他もろもろ

  1. さまざまな人気SF小説を書き、たまにTechCrunchへの寄稿も行うEliot Peperは、「Uncommon Stock:Version 1.0」というタイトルの新刊を出版した。これは偶然麻薬カルテルと遭遇してしまったちいさなスタートアップの話だ。このニュースレターの現在の購読者は、上のリンクをクリックすると無料でダウンロードすることができる(米国時間の日曜日に終了する)。
  2. 私はSXSWでリモートワークについてのパネルをモデレートすることを計画していたが、他のイベントによってそれはとって代わられた。そのパネルは、Hiredのマーケティング担当副社長であるKatrina Wong(カトリーナ・ウォン)氏、Gitlabのリモート責任者のDarren Murph(ダレン・マーフ)氏、そしてBuildstackの創業者であるNate McGuire(ネイト・マクグワイヤ)氏らが参加したパネルとして、Zoomで行われた。そのビデオは現在ここから視聴することができる。リモートファーストになるためのコツを専門家たちの口から学んでほしい。

#EquityPod ポッドキャストより

Alexから、

NatashaDanny、そしてAlexの3人は、スタートアップに焦点を当てたトピックのために集まった。もちろん世界はCOVID-19のニュースで溢れている。実際関連のニュースもいくつか取り上げた。だがEquityはその原点に戻り、スタートアップとアクセラレータについて話そうと思う。今週は以下のような話題を取り上げた。

  • 500 Startupsからのビッグニュース、および アクセラレータの最新デモデーのお気に入りの企業について。Y Combinatorだけが唯一のアクセラレーターではないので、TechCrunchは500とその最新参加企業にも目配りを行っている。私たちは、インフルエンサー市場、ゴミ処理、eスポーツ問題に取り組む、目立ったスタートアップをいくつか取材した。
  • Plastiqは7500万ドル(約81億円)を調達して、人びとや企業がどこでも自分のクレジットカードを使えるように支援しようとしていた。だが、パンデミックのためにそれはクローズできなかった。
  • Stripeが主導するFastの最新の2000万ドル(約22億円)のラウンドについても話題にした。誰もが覚えているように、Stripeは最近では、SequoiaがFinixへ投資した資金を(Stripeと直接競合するという理由で)諦めたことで話題になった。1。しかし、それは過ぎた話だ。Fastが開発しているのは、高速で独立していると考えられているインターネット用の新しいログインならびにチェックアウトサービスである。
  • こうしたStripeの話題は、それに対抗できるスタートアップの1つであるBrexを思い出させる。これまでに知られているだけで3億ドル(約324億円)を超えるベンチャーキャピタル資金を集めているこのスタートアップは、最近3社を買収した
  • 私たちは、D2Cベンチャー調査のハイライトから、特定のチャネルでの顧客獲得コストの上昇、総利益率の重要性、および寝具通販のCasperが、業界の真の先駆者ではなかった理由に焦点を当てて話し合った。

ポッドキャストはここから聞くことができる

原文へ

(翻訳:sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。