液晶とカメラと顔認証でサンバイザーに革命を起こすBoschのエンジニア

自動車がどんどん進化しても、サンバイザーは90年以上もほぼ同じ形をしている。しかしそれには、とくに夕暮れ時や夜明け時に、ドライバーの視界を遮ってしまうという困った問題があった。

Bosch(ボッシュ)の3人のエンジニアは、液晶ディスプレイ(LCD)、カメラ、顔の認証と検出のソフトウエアを利用してその問題を解決する画期的な方法を考案した。ボッシュではこれを「バーチャル・バイザー」と呼び、米国ラスベガスで開かれるCES 2020でデビューさせる予定だ。実際、バーチャル・バイザーは、CES 2020イノベーション・アワードで「ベスト・オブ・イノベーション」の栄誉を手にしている。

ボッシュ・ノースアメリカの技師でバーチャル・バイザーの開発者のひとりであるJason Zink(ジェイソン・ジンク)氏によると、そもそもこれは、ボッシュの社内イノベーション活動のひとつとして始まった草の根のプロジェクトだった。

最初のブレイクスルーは、開発者のひとりRyan Todd(ライアン・トッド)氏がテレビを買いに行ったときに訪れたとジンク氏は話す。いろいろなテレビを比較しながら見ているうちに、LCDは特定の箇所を選択的に黒くできることをトッド氏は思い出した。

「昔ながらのバイザーではなく、液晶ディスプレイを使うことで、部分的に透明にしたり不透明にしたりできるのです」とジンク氏はTechCrunchに話してくれた。「従来のサンバイザーでは、目に光が当たらないよう、ドライバーは常にその位置を調整していることを、開発の初期段階で私たちは突き止めました」とジンク氏。「この発見によって、製品コンセプトが良い方向に単純化され、技術のデザインに拍車がかかったのです」。このバイザーはまだ自動車には搭載されていないが、ジンク氏によれば、ボッシュは、商用自動車市場と乗用車市場の複数のOEM企業と話を進めているという。

「実際に製品化する意欲は大いにあります」とジンク氏は話している。「世界中のドライバーはほぼ全員が、今ある方式のバイザーでは、まぶしく危険な太陽光を防ぎきれないと感じています。とくに、ドライバーの視野が大幅に狭められる夕暮れ時と夜明け時は危険です」と、Bosch Car Multimedia(ボッシュ・カー・マルチメディア)のSteffen Berns(シュテッフェン・バーンズ)社長は言う。「きわめてシンプルなイノベーションが、きわめて大きなインパクトを生むことがあります。バーチャル・バイザーは、ドライバーの道路の見え方に変革を起こします」。

画像クレジット:Bosch

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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