満員御礼! TechCrunch School第1回開催報告と、第2回の申し込み受付開始のお知らせ

TechCrunch Japanでは、1月31日金曜日の夕方に、東京・末広町で「TechCrunch School #1 ベンチャー投資家に学ぶスタートアップ概論」を開催した(告知記事)。ゲストスピーカーとしてクロノスファンド EastVentures パートナーの松山太河氏と、ベンチャーキャピタルファンドANRIのパートナー佐俣アンリ氏のお二人に登壇頂いた。講演、パネルディスカッションとも素晴らしいお話を頂けたし、来場した「起業に前のめり」な学生さん同士の交流も活発だったし、第1回目として盛況のうちにスタートを切れたと思う。申し込みは告知後24時間以内に定員がイッパイになり、想定以上の反響だった。わざわざ京都など東京近郊以外から参加してくれた人も少なくなかった。

クロノスファンド EastVenturesパートナーの松山太河氏

ここで簡単に第1回の開催報告と、第2回の告知をしたいと思う(前回申し込みが間に合わなかった!という人は以下は読み飛ばして申し込みページへゴー!)

「起業か就職か?」の問いに「就職興味ないっす」の声も

「スタートアップ概論」というテーマで学生からの申し込みが一瞬で集まったことも驚いたのだが、もっと驚いたのは当日の参加者の前のめり感だ。

事前アンケートで「起業に興味あり」とした回答は9割を超えていたが、「まあそうは言っても大半は大企業に就職するんだろうけどね」という話を内部ではしていた。ところが、交流会などで来場者と話をしてみると、これが驚くほど誰も彼もが起業を目指しているというし、すでに事業を始めて儲かっているという話や、VCから資金調達を受けている学生さんも来ていた。

例えば、読書の感動を共有するサービスという「Booklap」を提供するProsbee代表取締役CEOの笠井レオ氏はIncubate Camp 3rdの最年少出場者としてVCから資金を得て大学2年生で起業した学生さんだ。せっかくなので会場では前に出てきて自己紹介をしてもらったが、実は2週間前に退学届けを提出したところなのだとか(!)。

forEstの後藤匠氏は、東工大の大学院生。受験参考書などをタブレットで閲覧し、復習や類題探しを最適化できる新サービス「ATLS」(アトラス)を準備中だという話だった。「参考書がどのように選ばれてどのような使われ方をしているのかというデータを出版社に提供してtoB向けに出版コンサルをしたり、個人の学習傾向や苦手分野などの個人データを軸にして他のEdTechサービスを繋ぐハブのようになれれば」と話していた。ほかにも、共同編集型比較表「Wikiparison」を開発する河又翔平氏を始め、スタートアップ企業、あるいは関連企業でインターンをしている学生さんが非常に多かった。

リアルなアドバイスや洞察に満ちたトーク

ベンチャー投資家の松山太河氏には「スタートアップ概論」の講演をお願いしてあったのだが、起業するにあたって本当に大切なことは何か? というお話しを頂いた。シード期の資金調達の存在意義とは何か……というような、どちらかと言えば「型」に関するスタートアップ入門的なお話し以上に興味深かったのは、スタートアップに関わる人々の精神面に関するリアルな洞察やアドバイスのほうだ。

例えば、多くのスタートアップや起業家を見てきた松山氏が、成功のカギとして挙げた3つの要素は、「実力 x 意志の力 x 善悪」だったりする。起業家やチームに実力があるだけではダメで、ほかに意志の力と善悪判断の伴った思い入れのある・なしがスタートアップの成否に強く影響するという。善悪について松山氏は、こう指摘していた。「社会的に求められているもので、社会の問題を解決するために頑張っているという人は強い。プレゼンで魂が入ってくるし、採用でも有利。採用は、その人(起業家)が本気かどうかで決まる面があるから」。意志の力や善悪(社会的意義を起業家自身が強く信じていること)によって実力以上の結果が出せる、というのが長年ベンチャー投資をしてきた松山氏の観察だ。

起業家が人材採用することに関しての生っぽいアドバイスとしては、遠くのスーパーエンジニアよりも身近にいる友だち、という発言もあった。いまどきのネット時代の若者はみんな勉強熱心で耳年増。だから、目が肥えていて人材に対するハードルが上がりがち。若い人は半年ほどで別人になるほど能力を開花させる人もいて伸びしろが大きいので、むしろある時点での能力よりも友だちとしてどうかという人格を見たほうがいいというアドバイスだ。

松山氏によれば、2014年、2015年は資金調達がやりやすい流れになっていて起業環境は悪くないという話。新卒で企業に就職しても初任給は年収でせいぜい400万や500万。自己評価で「切れ者」だと思っているのなら、シードファンドで400万円ぐらい調達し、その次の資金調達で2000万円も集めれば3000万円ぐらいになる。チームメンバーが3人として、それぞれ300万円の年収でやれば3年間は走れる。大学院に行ったと思えば、何らかのアイデアにかけてみる価値はある、という話だった。

実際に起業のリスクには、どういうものがあるのか? 起業と大企業への就職という選択肢の間には、どんな道があり、それぞれのメリット・デメリットは何なのか? そんな「起業か就職か」というテーマを巡って話していた感もあるパネルディスカッションでは、ベンチャーキャピタルファンドANRIのパートナー佐俣アンリ氏も加わって、割とアグレッシブな議論が展開した。

佐俣アンリ氏(左)と松山太河氏(右)

「アグレッシブ」と書いたのは、起業を勧めるトーンが強かったからだが、それには理由がある。一般論としては学生一般に就職より起業を勧めるような大人はいないと思うが、対象によっては話が変わってくる。すでに書いたように、TechCrunch School第1回は、TechCrunch上で告知しただけなのに24時間で参加枠が埋まった。ここにやってきた人たちは一般論で話しかけるべき学生ではない、というのが松山氏や佐俣氏の見立てだったようだ。

さて、当日の講演とパネルの模様は近日動画で公開する準備を進めているので楽しみにしていてほしいのだが、投資家の松山氏は、むしろ来場者同士の交流こそを深めてほしいと語っていて、実際、開催時間を過ぎても会場で話し込む人たちが多かったのは開催サイドとしては嬉しいことだった。

TechCrunch Schoolの第2回のテーマはグロースハック

第1回開催から、まだ時間があまり経っていないのだが、TechCrunch Schoolの第2回目を2月17日月曜日18時から開催することとしたので、お知らせしたい。

第2回のテーマは「グロースハック」。今回も参加者は大学生・大学院生に限らせて頂ければと思う。ちょっと現場寄りなテーマではあるが、スタートアップ企業というのは「起業」の中でも爆発的成長を遂げる企業群のこと。小さく始めて少しずつ成長するスモールビジネスとは異なる。昨今そうした爆発的に規模を大きくするスタートアップでカギと言われているのが「グロースハッカー」という主にユーザー数やトラフィックの成長をドライブする人々である……、というのは恐らくTechCrunch読者であれば説明不要だろう。

TechCrunch Schoolの第2回には海外スピーカーとして、LaunchRockの創業者であるJameson Detweiler氏、そして国内スピーカーとしてファッションSNSの「iQon」を運営するVASILYの金山裕樹氏にご登壇頂けることとなった。

LaunchRockは製品のプレローンチサイトを簡単に設置し、バイラルで拡散するためのツール。Detweiler氏はプロダクトをバイラルに拡散していく際の知見や経験の豊富な人物。学生起業家や起業準備中という人であれば、会場で個別のアドバイスをもらえるかもしれない。一方、VASILYの金山裕樹氏は、Yahoo!JAPANに入社後、Yahoo!FASHIONなどの立ち上げに参画し、その後株式会社VASILYを設立し代表を務めている人物。VASILYではファッションコーディネートアプリのiQonを運営しながら、専門のグロースチームも設置しており、ここでの経験をシェアしてくれるだろう。

パネルセッションでは、顧客獲得のためのモバイルSDKを提供するAppSociallyの高橋雄介氏にモデレーターをお願いして「新しい専門キャリア、グロースハッカーとは?」というタイトルで3人にお話しいただく。グロースハッカーというのはかなり新しい専門職だが、コーディング、データ、デザイン、UX、マーケティングなどの重なる領域におけるグローバルなキャリア、専門性形成ができる職種だ。その実際のところと今後の可能性について、学生の皆さんにとって興味深い話が聞けるのではないかと思う。

また今回のイベントには特別ゲストとして元TechCrunch Japan編集長で、現在B Dash Venturesでシニア・インベストメントマネージャーを務める西田隆一氏にも参加して頂けることとなっている。シード期の投資やPR関連で話を聞いてみたい学生さんは、メディアの視点も投資家の視点も持っている彼に相談すると、良いアドバイスがもらえるかもしれない。第1回と同様に、交流目当てに来て頂くのも大いに歓迎だ。

というわけで、TechCrunch School第2回の開催概要は以下の通り:

【イベント名】

TechCrunch School #2
学生起業家、その予備軍へ!
内外注目スタートアップに学ぶグロースハックの基礎
【開催日時】 2月17日(月) 17時半開場、18時開始
【会場】 東京・末広町 3331 Arts Chiyoda 3331 Arts Chiyoda地図
【定員】 100名程度
【参加費】 無料
【参加資格】 大学生もしくは大学院生
【ハッシュタグ】#tcschool
【主催】 AOLオンラインジャパン
【協賛】 リクルートホールディングス
【内容】

18:00~18:05 TechCrunch Japan挨拶

18:05~18:45 講演セッション「グロースハックとは」(LaunchRock創業者 Jameson Detweiler氏)

18:50~19:30 パネルセッション「新しい専門キャリア、グロースハッカーとは?」

モデレーター:高橋雄介氏(AppSocially創業者)
パネラー:Jameson Detwiler氏(LaunchRock創業者)
金山裕樹氏(VASILY創業者)

19:40~21:00 懇親会(アルコール、軽食も出ます)

特別ゲスト:西田隆一氏(元TechCrunch Japan編集長、B Dash Venturesシニア・インベストメントマネージャー

【申し込み】イベントページから事前登録必須
【事務局連絡先】tips@techcrunch.jp


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。