満足しなければ全額返金、高級旅館専門の予約サイト「relux」が会員機能をオープン化

「宿泊予約サイトは情報が多過ぎてなかなか選べない」「行ってみたら写真と実態がかけ離れていた」――。旅行にまつわるこんな不満を解消すべく、独自の審査基準で選んだ高級旅館だけを掲載し、しかも満足しなければ全額返金する“満足度保証”をうたっている宿泊予約サイトが「relux(リラックス)」だ。12月2日に、これまで会員登録時に必須だった審査をなくし、会員機能をオープン化した。

reluxが扱うのは部屋や風呂、料理、サービス、雰囲気など100項目からなる独自の審査基準を満たした高級旅館のみ。運営元のLoco Partnersの社員が現地を訪れ、実際にチェックをした旅館だけを掲載している。今年1月にオープンし、11月時点で80件の宿泊施設と契約、年内には100件を超える見込みだ。

これまでは取り扱う宿泊施設が少なかったこともあり、会員登録時に同社による審査を必須としてユーザーを限定していたが、12月2日に会員機能をオープン化。誰でも予約できるようになった。ユーザー数は10月時点で1万5000人、年内に3万人、2014年6月までに10万人を目標に掲げている。

満足度保証を支える機能としては、希望する宿泊地域や料理などに応じた旅館を提案するコンシュルジュデスクをサイト上に用意。「妻の誕生日に部屋から富士山が見える宿に泊まりたい」といったざっくりとした要望にも応えていて、予約者のうち2割以上が利用しているのだとか。

1予約あたりの平均単価は約9万円。「競合サイトよりも3倍以上高い」(篠塚孝哉社長)が、競合サイトの同一プランと比べて最も安い料金を提供する最低価格保証を行っている。滞在して不満だった場合は宿泊費の全額返金に応じているが、「いままでに1件もない」。累計流通総額は10月で1200万円、12月に3000万円に達する見込みだ。

楽天トラベルやじゃらん、一休などの競合サイトと比べた優位性は、宿泊施設から受け取る手数料の高さ。「楽天やじゃらん、一休の手数料率は宿泊代金の10%程度。それに対してreluxは15%」(篠塚氏)。競合サイト比べて予約平均単価も高いreluxは、手数料収入による高い利益率が強みとなっているのだという。

なぜ、強気の手数料を設定できるのか。篠塚氏によれば、一部の超有名旅館を除けば、1年中満室の旅館はごくわずか。そこでreluxは、Facebookや検索エンジンの広告を通じて、競合サイトがリーチできていないという「富裕層」を獲得し、旅館が宿泊予約サイトで取り込めなかった層を送客している。旅館としても稼働率が上がるメリットがあるため、高い手数料を許容しているようだ。

篠塚氏は2007年にリクルート旅行カンパニーに新卒入社。在籍中は大手宿泊施設の企画やマーケティングに携わってきた。2011年にLoco Partnersを創業し、2013年3月にreluxをローンチしたが、そこで感じたのは旅行業界の“常識”に対する疑問だったと話す。

「旅行業界は宿泊施設を“箱”としかとらえない傾向がある。いかに単価が高く、収容人数が多い施設に人を流し込むか、というモデル。それは旅行代理店や宿泊予約サイトでも同じ。良い旅館が埋もれているのが悔しくて仕方ない。reluxは会員に満足度の高い旅行体験を約束し、旅行業界の既存モデルを変革したい。」

Loco Partnersの篠塚孝哉社長


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。