無茶しやがって…。「史上最大の素数」まさかの書籍化

思いつきだけでなく、実行してしまった人は世界で唯一かもしれない。

2017年末に発見された「史上最大の素数」が書籍になったのだ。手がけたのは、オンデマンド出版事業を手がける虹色社(なないろしゃ)。ISBNコードも取得済みの正式な本で、税込み1944円。この「2017年最大の素数」は、1月13日からはAmazonでも購入可能だ。

ページ総数は、実に719ページ。電話帳サイズの本の中にびっしりと細かい文字で2324万9425ケタの文字が書いてある。じーっと眺めていると、なんだか頭がボーッとしてくる。これが、史上最大の素数「M77232917」の威力か…。

一体、なぜこんな無茶なことをしたのか。1月19日、東京・早稲田の事務所で虹色社の山口和男さんに聞いた。

全ページにびっしりと数字が。写真だと、細かすぎてトーンにしか見えない。

ページを接写した写真。ようやく数字が見えてきた。

「本にしたら面白いんじゃないか」

— なぜ史上最大の素数を書籍化しようと思ったのですか?

ネットニュースで史上最大の素数が発見されたと知って、これは本にしたら面白いんじゃないかとひらめきました。とりあえずデータを製本用のソフトにデータを入稿したのがきっかけですね。

—虹色社はオンデマンド出版事業を手がけてますが、そのPR目的もあるんですよね?

いえ、全く考えてなかったです。一冊の本にしたかったというだけですね。以前からケタ数が多い数の書籍化には興味があって、円周率の書籍化を考えたことがあります。しかし、円周率は小数点以下のケタ数が無限にあって、どこまでいっても完結しない。一方で、今回の素数は2324万9425ケタもあるけど、そこで完結している。最後のページでちゃんと数字が終わっているので、手に取れる1冊の本という形になると、やっぱり美しいじゃないですか。

—なるほど、分冊にしなかったのはそれが理由ですか。ちなみに、最初の1冊を作るまでにはどれくらいかかりましたか?

約1週間くらいかかりましたね。GIMPSプロジェクトが発表したデータファイルは一定の文字数で改行が入っていたので、それを製本用に整形し直すのが非常に手間でしたね。今は量産できるので、1時間に5冊ほど作れます。

—Amazonで買おうとすると「一時的に在庫切れ」になっていますね。

注文を受けてからAmazonの倉庫に送るようにしているだけで、問題なく買えます。数日で商品がお手元に届くはずです。

—こちらの事務所でも買えますか?

大丈夫ですよ。はい、どうぞ。

—ありがとうございます。ちなみにこれまでに何冊売れましたか?

あなたが世界で初めてです。

虹色社の山口和男さん

HuffPost Japanからの転載。

投稿者:

TechCrunch Japan

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