煙幕のような関与否定声明の向こうに本当の事実が透けて見える

“直接的なアクセス”をさせたことがない、は、“アクセス”をさせたことがない、とは違う*。“バックドアはない”、は、“ドアはない”とは違う。“法に従ってのみ”は、PRISMが違法だったを意味しない。また、関与するために計画のコードネームを知っている必要はない。Larry、そしてZuck、きみたちはNSAのデータスパイ計画への関与の否定を、平明率直な言葉で語っていない。そして、その理由も分かる。きみたちは政府のスパイ行為を手伝ったが、そのあと、口止めされたのだ。〔*: direct access, 関連記事: 直接的ではないアクセスをNSAに与えた。〕

The New York Timesの記事は、きみたちがそれをそれと知りながら、NSAのデータ監視計画PRISMに関与した、と言っている。きみたちは、人びとのプライベートな通信とWeb上の行動を政府がのぞき見するために、“鍵のかかったメールボックスを作ってその鍵を政府に与えよ”、とまで言われた。

PRISMに関して言っていいこととわるいことが事前に決められていて、きみたちはそれを気にしているのだろう。というかきみたちは、政府に透明性の向上を求めることによって、なんとか反撃しようとしているのかもしれない。Markの声明の最後のくだり、“すべての政府は、公共の安全のためのすべての施策に関し、透明性を確保すべきである”を解読すると、こうなる: “われわれは手錠をかけられているから、われわれの関与を明かせるのは政府だけである。ぜひ、そうしてほしい”

しかし残念ながら、実際にはきみたちはNSAに、われわれのプライベートなデータへのアクセスを提供し、だからきみたちの、率直ぶりっこしているが技術用語の多い声明文は、事実が明るみに出た今、私たちを悲しませるだけなのだ。

きみたちが使った言葉は、事実を偽装している。直接的アクセスは、あいだに何もない無制約のアクセスだが、政府は、サーバに直接アクセスしなくても必要な情報を得ることは十分にできる。バックドアは、ホストが知らなかった、あるいは同意しなかったアクセスのことだが、きみたちはNSAの覗き行為を十分に知っていた。NSAの行為は法によって保護されているのだろうから、合法なのぞき見のみ認めるというきみたちの言い分は、空文だ。PRISMという名前を知らなかったというが、政府がスパイ行為をするにあたって、計画のコードネームとか、そんな細かいことをきみたちにわざわざ教えるだろうか? 彼らは、データが必要だ、と言っただけだ、きっと。

今となっては、これらの言い訳はうつろに響く。ふつうの市民にとっては、細部はどうでもいい。彼らは“ぼくたちはNSAを手伝わなかった”というきみたちの声を聞いたが、でも実際には手伝った。だから、彼らのきみたちへの信頼は、崩壊した。

危ないのはきみたちのビジネスと、私たちの生活だ。ぼくの友だちは全員、Google Docsを使っている…それは良いことだと思っていた。Facebook Eventに友だちを誰でも招待できる…それもすてきなことだ。でも、そんな友だちが、きみたちの言うことを信じられなくなってDocsやEventを使わなくなったら、すごく不便だ。でも、不便さよりもっと重要なのは、PRISMがわれわれの自由を奪ってしまったことだ。

しかも、今のきみたちの沈黙は、罪を認めているシルシだろう。われわれの政府はきみたちを、おそろしい立場に追い込んでしまったのだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))


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TechCrunch Japan

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