熟練の匠の技術をAIに、製造業をスマートにするスカイディスクが8.6億円を調達

製造業に特化したAI×IoTソリューションを提供するスカイディスクは4月18日、複数の投資家を引受先とする第三者割当増資により総額で8.6億円を調達したことを明らかにした。

今回の投資家リストは以下の通りだ。

  • SBIインベストメント
  • AJS
  • 中島工業
  • 鈴与商事
  • りそなキャピタル
  • 環境エネルギー投資
  • みずほキャピタル
  • DG Daiwa Ventures

スカイディスクにとってシリーズCとなる今回のラウンドには、VCに加えてこれまで同社が協業を進めてきた大手企業が参画している。AJSとは2017年10月に業務提携を締結し、主に旭化成グループの工場におけるAI活用を推進。2018年1月に提携を発表した中島工業とは、工場向け水処理装置にAIを組み込んだパッケージ商品の開発に取り組んできた。

また直近では2019年1月に鈴与商事と業務提携を締結。ファクトリーオートメーション機器とAIサービスを組み合わせたビジネススキームの開発を進めている。今後もそれぞれの取り組みを継続していく方針で、連携強化も見据えて各社から出資を受けた形だ。

スカイディスクでは調達した資金を活用して国内外でAIエンジニアの採用を進める計画。製造業向けAI開発ツールを充実させ、製造現場へのAI導入を加速させる。

ベテラン技術者の技をAIが解明し、再現

過去に何度か紹介しているように、スカイディスクではセンサデバイスの開発からAIを活用したデータ分析まで、現場でAI・IoTを活用するのに必要な機能をワンストップで提供してきた。

以前は製造業に限らず農業や流通、環境などさまざまな分野へのサービス展開を見据えて事業に取り組んでいたが、特に2017年10月に実施したシリーズB以降は需要の多かった製造業へと徐々にフォーカス。業務ヒアリングによる課題の抽出から目的や解決策を設定し、必要なデータをどのように集め、人工知能によってどう解析するかまでをトータルでサポートする。

事業の核となるのはセンシングデータから正常異常などの判定結果を提供する「SkyAI」だ。

これまでスカイディスクが蓄積してきたナレッジを活用し、データ整形・解析するためのモジュールと分野別のAI学習モデルをライブラリとして保有。顧客の課題に合わせて最適なものを組み合わせることで、時間やコストを抑えつつ、設備の保全や製品の検品、歩留まりチェックなどの業務を効率化できるのがウリだ。

同社によると自動車業界を始め、化学メーカーやプラントの現場で導入が進んでいるそう。たとえば製造時のプロセスデータとセンサから取得した波形データ、検査結果が紐づけられたデータなどを基に不良品の発生要因を見える化した事例や、事前に不良発生を予測できるAIを導入することで生産性の向上・機器の多台持ちを実現した事例などがあるという。

スカイディスクのユニークな点をひとつ紹介しておくと、製造現場における単純作業だけでなく、これまで熟練のベテラン技術者が「経験や勘」で実行していた高度な業務をAIでサポートしようとしていることだ。

労働力不足や高齢化により現場で高度な業務を担える人材が減っていく中で、同社では「匠の技を、AIに」というコンセプトを掲げる。ベテラン技術者の操作データを材料に、彼ら彼女らが持つスキルやナレッジをAIが解明し、再現することが目標だ。

以前紹介した「スマート聴診棒」はまさにその代表例と言えるだろう。このサービスはスマホのマイク機能を使って取得した“音”により、設備機器の異常診断ができるというもの。従来は熟練の技術者が聴診棒という棒状の器具を用いて、それぞれの機器から発せられる振動音を聞き分けることで成り立っていた業務を、データとAIを活用することで他の担当者でもできるようにした。

2019年の3月にはこの機能を「SkySound」としてモジュール化し、SkyAIの中の1機能としてAPI経由で使える形で提供している。

上述した例も含め、クライアントやパートナー企業との共創によって年間数十件のAIプロジェクトを進めてきたスカイディスク。今後も製造現場の人手不足を始めとする課題解決や生産性の向上に向けて、AIサービスの機能拡張やパートナーとの連携強化に取り組む計画だ。

スカイディスクは2013年設立の福岡発スタートアップ。2017年に実施したシリーズBラウンドでニッセイ・キャピタルなどから7.4億円を調達しているほか、2016年にも1億円の資金調達を実施している。

投稿者:

TechCrunch Japan

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