”物流界のUber”Lalamoveがアジア100都市以上での営業展開を目指し3000万ドルを調達

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香港に拠点を置きオンデマンド物流サービスを提供しているLalamoveは、上場を視野にこの度シリーズBで3000万ドルを調達した。

3年前にEasyVanという名前で設立された同社は、現在中国の50都市と東南アジアの5都市で営業しており、今回調達した資金を使って2017年中にさらに中国・アジアの60都市以上へとビジネスを展開していく予定だ。

今回のラウンドをうけ、Lalamoeはこれまでに合計6000万ドル以上を調達したことになる。シリーズBでは、Baiduで以前M&A部門のトップを務めていたHesong Tangによって新たに設立された、北京に拠点を置くVCのXianghe Capitalがリードインベスターとなった。そのほかにも既存の投資家であるMindWorks VenturesやCrystal Streamに加え、新規にBlackhole Capitalが同ラウンドに参加していた。

Lalamoveにて国際部門担当マネージング・ディレクターを務めるBlake Larsonは、TechCrunchとのインタビューで同社は損益分岐点に到達する寸前だと話していた。

「特にオンデマンドサービス界隈では資金調達が難しい今、今回のラウンドによってLalamoveは間違いなくビジネスを成長させる上で有利なポジションに立つことができます。既に複数の都市では黒字化できているほか、キャッシュフローもポジティブなため、今年中には全社的に採算がとれるようになるでしょう」とLarsonは語る。

「現在資金は十分にあるため再度資金を調達する必要はありませんが、今後全く資金調達をしないというわけではありません。私たちは既にもうかるビジネスモデルを持っており、上場は可能性の問題ではなく、時間の問題です。ハッキリと言うことはできませんが、現在の財務状況を考えると、2年から2年半のうちに上場することができると考えています」と彼は付け加える。

上場先の市場など、IPOについてはこれ以上Larsonは明かさなかった。

Lalamoveは、Uberのようなオンデマンドの交通サービスからヒントを得た複数存在する物流会社のひとつだ。しかしUberと違い、彼らは単価が高く利用頻度も安定している法人ユーザーを主な顧客としている。一方Lalamoveのアプリは誰でも使うことができ、ユーザーは同社のバイクやバンを利用して、食品や雑貨、オフィス用品を中心にさまざまなモノの配送を依頼できる。

「物流市場の規模は大きく、中国の市場規模は1兆7000億に達するほか、東南アジアの一部の国ではGDPの最大27%を占めています。その上、この業界はモバイルインターネットの世界ではあまり注目されていません。私たちのユーザーは、それぞれの街でより早くてシンプルな配送手段を求めており、Lalamoveは何でも1時間以内に配送できるということを証明してきました」とLalamoveのファウンダー兼CEOのShing Chowは声明の中で述べている。

現状Lalamoveのビジネスの中心は中国にあるが、全ての地域を勘案するとプラットフォーム上には50万人のドライバーと500万人のユーザーが登録されており、これまでに1500万回もの配送を行ってきたと同社は話す。Uberも2年前に香港で似たようなビジネスを展開しようとしたが、昨年Uber Cargoはサービスを停止した。

Uberと同社の中国におけるライバルであり、Uberの中国事業を買収予定のDidi Chuxingが今後数年の間に上場するかについては、さまざまな憶測が飛び交っているが、専門家のほとんどは両社ともまだ事業を黒字化できていないと考えている。

しかし、資金調達の難しさからオンデマンド物流界に残る数少ないプレイヤーのひとつであるとLarsonが話すLalamoveは、今年中の黒字化を狙っている。その原動力はターゲットとしている顧客層と、価格よりもサービス品質を重視した同社の戦略だ。

「私たちのオペレーションは表層部では(Uberと)似通っているかもしれませんが、コンシューマー市場のスイッチング・コストはとても低い水準にあります。そのため顧客ロイヤルティを保つのが、エンタープライズ市場に比べ難しくなってしまいます。(Lavamoveのように)法人顧客が中心の場合、顧客は短期的な金銭的メリットがあっても、他社に乗り換える可能性が低いんです。これは法人顧客がプロモーションに疎いというわけではなく、彼らは価格だけでは動かないということです」とLarsonは説明する。

昨年LalamoveはLINEと契約を結び、同社のチャットアプリ上のオンデマンドサービスをサポートすることになった。なおこの契約は、まずLINEのメイン市場のひとつであるタイで締結された。LINEがタイで提供しているLINE MANは、4年早くサービスを開始していたRocket InternetのFoodPandaを既にデリバリーボリュームで上回っているとLarsonは話す。さらに彼によれば、Lalamoveは現在LINEと似たようなサービスを東南アジアで展開している企業との将来的なパートナーシップの可能性を模索している。

「次のパートナーはチャットアプリを運営する企業ではないかもしれませんが、ソーシャルコマースサービスのように、今後一緒に仕事ができる可能性のあるプラットフォームはまだまだ存在します。特にオペレーション面のリソースに欠ける規模の大きなプラットフォーム(をLalamoveはサポートすることができます)」と彼は話す。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter

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TechCrunch Japan

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