“物置き版Airbnb”の「モノオク」がANRIから数千万円を調達、トランクルームのリプレイス目指す

荷物を預けたい人と、空いたスペースを活用して荷物を預かりたい人をマッチングする物置きのシェアリングサービス「モノオク」。同サービスを運営するモノオクは7月25日、ベンチャーキャピタルのANRIを引受先とする第三者割当増資により数千万円を調達したことを明らかにした。

同社では今回調達した資金により開発人材を中心に組織体制を強化するとともに、モノオクを通じて荷物を預けることのできるスペース数の拡大を目指す方針。また双方のユーザーの利便性向上に向けてモノオクが荷物の中継地の役割を担う「モノオクハブ」の準備も進めていくという。

空きスペースを活用した物置きのシェアリングエコノミー

冒頭でも説明した通り、モノオクは個人間で荷物を預けることのできるシェアリングエコノミー型のサービスだ。Airbnbを知っている人であれば、”物置き版のAirbnb”と言った方がすぐにピンとくるかもしれない。

モノオクに登録することができるのは部屋の一角にある押し入れやクローゼット、使っていない倉庫や空き部屋を始めとした個人が保有しているスペース。ホストと呼ばれる荷物の預かり手となるユーザーは、これらの空きスペースを活用して荷物を預かることで収益をあげることができる。

一方で荷物を預けるユーザー側の視点に立つと、モノオクは物置きのシェアサービスという打ち出し方をしているように、家具や家電などダンボールに収まらないような大型の荷物でも預けられることが特徴だ。

モノオク代表取締役の阿部祐一氏いわく「トランクルームやコンテナをリプレイスするようなもの」であり、従来のトランクルームに比べて低価格で荷物を預けられる点がウリ。相場感としては都心部だと一畳のスペースが1ヶ月7000円ほどになるそうで、敷金や礼金といった初期費用も不要だ(トランクルームの場合は同じエリアだと1〜1.5万円かかるスペースも多く、かつ初期費用が別で加算されるようなものもあるという)。

これまでもTechCrunchでは荷物を預けられるサービスをいくつか紹介してきたけれど、例えばコインロッカーを代替する「ecbo cloak」とは預ける荷物のタイプや期間の点で大きく異なる。専用のボックスに荷物を詰めて送るだけのクラウド収納サービス「サマリーポケット」は一見近しいようにも思えるが、実際の利用シーンは違ってきそうだ。

サマリーポケットの場合はクラウド収納サービスという表現をしているように、預けた荷物を1点ずつ管理したり取り出したりすることができる。一方のモノオクは上述した通り物置きだ。荷物を頻繁に取り出したり、預けたものをクラウドで逐一管理したりといった使い方にはマッチしない。

阿部氏によると、今のところユーザーのニーズとしては「引越し時などに2〜3ヶ月間だけ荷物を預けるパターン」と「倉庫代わりに長期間保管するパターン」の2つが多いそう。前者の場合は家具一式や家電、後者の場合は書類やレジャー用品などが中心になるという。

もっと簡単に預けられる場所に向けて「モノオクハブ」構想も

モノオクはもともとLibtownという社名で2015年4月にスタート。過去に阿部氏が家電の置き場所に困っている知人から相談を受けて、数日間荷物を預かったことがモノオクを開発するきっかけとなった。

ベータ版の開発、テスト期間を経て2017年3月に正式リリース。当初は短期間の利用も想定していたものの、ユーザーの要望を受けて9月には1ヶ月以上の中期〜長期利用にも幅を広げ、それ以降は長期利用を軸としたサービスとして拡大してきた。

4月には社名をモノオクに変更するとともに、料金の見積もり機能などサービスのリニューアルを実施。メディアに取り上げられたことも重なって、特に空きスペースを運用したいホストユーザーが増加。現在掲載されている預かり場所は1000箇所を超えているという。

モノオクは預かり料金の20%が手数料となるビジネスモデル。そのため「どれだけ成約数を増やせるか」が成長の鍵となる。阿部氏によると今回の調達も踏まえて、今後1年を目標に預かり場所の数を1万箇所まで増やしていくことを目指すとともに、成約率を上げるための改善に力を入れていく計画だ。

その一つが近々実装を予定している「モノオクハブ」という機能だという。

「モノオクでは値段の相談やスケジュールなど、メッセージ機能を通じた個人間でのやりとりが必要になる。そのためホスト側の返信がなかったりスピードが遅かったりすると機会損失を生むことになり、それが課題にもなっていた。今後はユーザーから預けたいというリクエストがあった時点で”運営が一時的に荷物の中継地の役割”を担い、さらにユーザーの利便性を上げていきたい」(阿部氏)

モノオク代表取締役の阿部祐一氏

投稿者:

TechCrunch Japan

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