独立系VCのSpiral Ventures Japanが総額70億円の1号ファンド組成を完了

ベンチャーキャピタル(VC)のSpiral Ventures Japanは1月29日、1号ファンドの最終募集を締め切り、総額70億円で組成を完了したことを発表した。日本企業のみを投資対象とする独立系VCが組成した1号ファンドとしては、過去最大規模の金額となる。

1号ファンドの主な出資者は、アシックス・ベンチャーズ、セイノーホールディングス、T8、図書印刷、森トラストなどの事業会社、国内証券会社や海外ヘッジファンドなどの大手金融機関と中小企業基盤整備機構。TMT(テクノロジー、メディア、テレコム)セクター以外の大企業の出資が多いのも特徴だ。

Spiral Venturesグループは、IMJ傘下で投資活動を行うVC子会社として2012年に設立された。2013年、IMJがカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)のグループ会社となってからは、CCCグループ傘下で投資活動を継続しながら、拠点をシンガポールに移し、東南アジア向けのファンド運営を開始。その後、2015年に新たに国内拠点を設立し、日本向けファンドの運営を開始。その後、事業拡大にともないCCCグループから独立し、2017年からはSpiral Venturesとして投資活動を行っている。

1号ファンドの投資領域は、テクノロジーの活用により既存産業が抱える課題を解決し、付加価値向上を図る「業界変革型ビジネス」と、先端的なテクノロジーやビジネスモデルで新たな産業を創出する「新産業創出型ビジネス」の2つが対象。

既に投資を行った例では、オープンロジ(物流業務プラットフォーム)や、エネチェンジ(電力自由化ビジネスなど)ビズリーチ(転職サービス)などが業界変革型、ナーブ(VR内見)Z-Works(IoT介護支援システム)フューチャースタンダード(AIによる映像解析システム)などが新産業創出型に当たる。

投資ステージとしては、アーリー〜レイターステージまでのスタートアップを対象としており、これまでにアーリー・ミドルを中心に19件(合計約21億円)の投資を実行している。アーリーステージで5000万円から3億円程度、レイターステージでは5億円程度の出資を行うという。

Spiral Ventures Japanでは、1号ファンドの運営を通じて「日本のスタートアップエコシステムの発展に貢献する」とコメント。またグループの連携を生かし、日本のスタートアップのアジア展開にも協力するという。アジア展開の際のリサーチ協力、営業・アライアンス先の紹介などで支援を行っていく。

Spiral Ventures Japanのメンバー。右から3番目が代表パートナーの奥野友和氏。

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TechCrunch Japan

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