生命科学研究分野のGoogleを目指すBioz、Esther Dysonから300万ドルを調達

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Biozは、研究者がインターネットに公開された何千という科学関連記事を流し読みするのにかかる時間を削減し、直ちに研究に関連性の高い知見を提供しようとする、生命科学実験専用の新しい検索エンジンだ。

カリフォルニア州パロアルトに拠点を置くこのスタートアップは、自然言語処理を用いて公開されている科学論文から記事を抜粋して提供することでこれを実現している。Biozは、製品の選択、実験の計画、論文の執筆、助成金の申請、共同研究、実験と創薬の迅速化などにおいて実験者を支援するプラットフォームとなる。

科学論文の全体検索を提供する検索エンジンは、Biozが初ではない。すでにGoogle Scholarや人気のPLOS ONEによってピアレビュー済みの文献から研究者が利用できる論文を探し出すことができる。しかし、Biozは同社のビジネスモデルが他社とは一線を画したものであると考えている。

Biozは、検索結果の利用に関連して研究者に請求を行わない代わりに、ベンダーに対してクリックごとに一定料金を請求するという。この仕組みの全体像については明らかになっていない。説明は極めて怪しげに聞こえるし、ベンダー向けの広告モデルに関しては無料の競合サイトが存在するが、広報から得た情報によれば、論文を検索している間にベンダーのサイトがクリックされると、ベンダーに料金が発生するのだという。

Biozのクリック単価は、いずれ一定額ではなく生命科学分野の製品のベンダーやメーカーが入札するというGoogle Adwordsと非常に似た形になる、と共同設立者のDaniel Levitt氏は言う。

Bioz検索エンジンは、自然言語処理と機械学習を利用して、ウェブ上に散在する、数億ページにもおよぶ複雑かつ構造化されていない科学論文のマイニングを行い、論文の概要をまとめて研究者が簡単に欲しい情報をクリックして読めるようにする。

「Biozは、検索技術に革命を起こし、研究者に焦点を絞って情報を提供する」と、投資家でCialisの開発者でもあるGary Wilcox博士はBiozプラットフォームについて述べている。

Biozは、40か国にまたがる1000を超える大学およびバイオ医薬品企業の学術研究ラボや産業R&Dラボなどに所属する3万人以上のユーザーが完全に無料で同社の検索エンジンを使用しているとしている。

Biozは、すでにEsther Dysonを含む投資家からシードファンディングとして300万ドルを調達したことを発表している。

「Biozのビジネスモデルは一見すでに購入可能なものに関連するものですが、背景には『すべてに注意を払うべきである』という不文律があります」と、Dyson氏は投資の理由を説明している。「Biozは、気づかれにくいそのような外的要因をすべて把握する助けとなるのです」

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(翻訳:Nakabayashi)

投稿者:

TechCrunch Japan

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