産業が求めるレベルまで自動運転技術を前進させる「レーダー」技術を開発するSpartan Radarが総額約28億円調達

大量の機械学習とわずかなレーダーセンサー、そして歩行者の大群をひき殺すことのない自律走行車を求めている市場を見てみよう。8月に1000万ドル(約11億4000万円)を調達したばかりのSpartan Radarが米国時間11月3日、Prime Movers Labが率いる投資家たちからさらに1500万ドル(約17億1000万円)を調達した。このラウンドには8VCとMac VCが参加している

2020年に創業された同社は、2年前には存在しなかった企業だがそれにしては立派だ。同社の同社自身による位置づけは、クルマのレーダーと、同じくクルマの自動運転技術が交差するところにいる企業群の仲間だ。同社によると、現在および次世代の自動運転車(autonomous vehicles、AV)のレーダー技術はかなり進歩しているが、まだ車両自身が、レーダーに「見えて」いるものに対して何をすべきかわからない場合が多く、そのために間違いを起こしてしまうという。

Spartan Radarの創業者でCEOのNathan Mintz(ネイサン・ミンツ)氏は次のように主張する。「自動車産業は低レベルのオートメーションへ移行しているが、それにより、レーダーがLiDARよりも魅力的なものになっています。LiDARは初期にはたくさんの約束を披露してくれましたが、その誇大宣伝の実現には失敗しています。しかし、高解像度システムに対するニーズは消えていません。処理能力も、リアルタイムの超解像度などの高度なアルゴリズムが使えるほど大きくなっているため、今やレーダーは自動車メーカーにとってはるかに優れた選択肢なのです」。

同社はその製品をBiomimetic Radar(生体模倣型レーダー)と呼び、人間の感覚処理を模倣してフォーカス(焦点)とコンテキスト(状況理解)を強化している。同社によると、そのアルゴリズムは処理速度をめざましく高速化し、低い解像度や検出過誤など従来のレーダーの欠陥を減らしている。それにより、自動運転車の安全性と商用展開の規格であるADAS level 2(レベル2)以上をクリアしている。

Spartan Radarのソフトウェアは、現存するほとんどすべてのレーダーシステム上で展開できる。同社は顧客について明言しなかったが、矢継ぎ早の2度の資金調達ラウンドが示すのは、顧客たちが行列を作っているということだ。

「残念ながら私たちが実際に目にしているエビデンスによると、LiDARを使用するシステムは、それが追放するはずだった注意力散漫な人間ドライバーのように振る舞うことがあります。Spartanのレーダーシステムは自動運転技術の前進であり、AVとADASのシステムを今日の産業が必要とするレベルに持ち上げます」と同社の取締役会に加わったPrime Movers LabのゼネラルパートナーDavid Siminoff(デビッド・シミノフ)氏はいう。

「AV企業にはこれまで数十億ドル(約数千億円)が投資され、一部は上場もしました。この業界は今やっと、R&Dの段階を脱して、ラストマイルのデリバリーやトラック、ロボタクシーなど実用ユースケースで大規模に商用化されようとしています。OEMやAV開発企業各社は、2022年の市場化に備えて安全で堅牢なセンサーソリューションを必要とし、そして私たちには、そのニーズに呼応する準備ができています」とミンツ氏は語る。

画像クレジット:Spartan Radar

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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