病気の診断向上を目指し検査とデータ統合を行うHalo Dxが約20億円調達

ヘルスケアは最も複雑な産業の1つだ。消費者サイドでは不満を募らせている一方で、ある意味、シンプルなメソッドで大きく改善する余地がある。Halo Diagnostics(ハロ・ダイアグノスティクス、略してDx)は、複数のテストの実施と改善したプロセスをプロバイダーが簡単に利用できるようにすることで、いくつかの深刻な病気の診断を向上させるべくシリーズAで1900万ドル(約20億6000万円)を調達した。同社はまた、それを達成するために必要となる医療施設を即金で購入するために8桁の信用供与を活用するという異例の措置を取った。

大きな健康問題に対処しなければならなかった人ならわかるだろうが、受けるケアは多くの要因によりプロバイダーごとに大きく異なる。あなたの保険のカバー範囲だけでなく、プロバイダーがすでに使っているメソッドが何かにもよる。

例えば前立腺がんの検査を受けに行く男性にとって、一般的な血液検査や直腸診は何年も変わっていない。そしてその検査は罹患の予測に関してはそれほどいいものではなく、不確実性、そして生検のような不必要な処置へとつながる。

もちろん、あなたが幸運ならあなたのプロバイダーは、問題を見つけることにかけてもっと優秀な項目の多いMRIを提供するかもしれない。そしてMRIと、遺伝子マーカーを調べる尿テストを組み合わせれば、がん検知の精度は実質的に絶対確実レベルに上がる。

しかしこれらのテストはより高価で、特別な施設と人員が必要でプロバイダーの既存のインフラに収まらないかもしれない。Haloはこの種のマルチ要因診断を可能にするために、医療データのストリームを改良することでそうしたインフラを提供することを目指している。

「基本的に医師や画像センターは最新レベルのケアを提供していません。もしあなたが幸運ならそうしたケアを受けられるかもしれませんが、地域の医療ではそうはならないでしょう」とHalo Dxの共同創業者でプロダクト最高責任者のBrian Axe(ブライン・アクス)氏は話した。「ひねくれて聞こえるかもしれませんが、ヘルスケア産業が最新の医学の進歩を受け入れるのに必要なものは、より良い結果に加えて良い財政です。問題は統合された診断ソリューションであり、どうやってそうしたオーダーを受け、市場開拓し、プライマリーケアのプロバイダーと話すかです」。

さらに障害となるのは、複数の手段のテストが、医療画像やテストのプロバイダーがそうしたものを行うよう決める種のものではないとうことだ。画像センターは、尿検査の信頼性が向上しているとは聞かないだろうし「隣の建物を買ってそれをやろう」とは思わないだろう。テスト施設を建てるのはコストがかかり複雑で、テストを行ってその結果を組み合わせるのに専門家を雇うのもさらなるハードルだ。

なのでHalo Dxは数千万ドル(数十億円)とともにパラシュートで降下し、画像とテストのセンター(これまでに4カ所)を購入し、そのオペレーションを引き継いで他のテストと組み合わせている。

若い企業がかなりの責任を負うのは愚かに見えるかもしれないが、これら画像センターがすでに強力な事業となっているのをサポートしている。放棄されておらず、費用の半分しか払われていないMRI装置が赤字運用されてもいない。

「画像の注文はすでに入ってきています。センターは利益を上げています。センターはいかにテクノロジーが自分たちをディスラプトするかを目の当たりにしているため、参加し始めています。そして彼らは変化を手伝いたいと考えています」とアクス氏は述べた。

前立腺がんと乳がんが最初のターゲットだ。しかしより多くの、そしてより良いデータによって、多発性硬化症やパーキンソン病、他の神経変性疾患などの病気にも向上した診断と治療が提供される。

1つの企業が画像やテスト施設の運営、結果の統合など複数の業務を行うことで、プロバイダーの利用は大いに見込める。そしてHalo Dxは、医療データ管理とコミュニケーションという歴史的に無視されてきた分野に関わるために、企業グレードのソフトウェア専門性を持ち込もうとしている。

この分野の危険にさらされていたそうした側面について、アクス氏は同社の最高医療責任者であるJohn Feller(ジョン・フェラー)博士に従った。

「フェラー博士はこの問題をかなり上手に描写します。『私はあなたの体内を見ることができる最先端のMRI装置を持っています。しかし取り込みからストレージセンターに至るまで細分化されたソリューションのために、私はドットコム時代前に生きているように感じていて、不自由です』と表現しました」とアクス氏は回想した。「あなたが記録や推奨された追加のテストを見たくても、ソフトウェアベンダーは互いに話をせず、統合もしません。互いに話して欲しい3つのプロバイダーをあなたは抱え、そうしたプロバイダー間には1ダースのシステムがあります」。

アクス氏はHalo DxのアプローチをOne Medicalのものと比較した。そのアプローチで効率を向上させ、消費者との関係をより軽快かつ簡単なものにすることでやり取りの増加につながっている。

1億近くの義務を負い、極めて複雑でかなり規制が厳しい業界に飛び込むというのはいくつかの点でリスクのある動きのようにみえる。しかしチームは熟練していて、出資者は注目に値し、成長する可能性はすぐそこにある。そしてOne Medicalなどのような成功が関係者全員を大胆にした。

Zola Global Investorsがラウンドをリードし、医療、テック分野からの出資者は以下のとおりだ。Anne Wojcicki(アン・ウォイッキ)氏、Fred Moll(フレッド・モール)氏、Stephen Pomeranz(スティーブン・ポメランツ)氏、Bob Reed(ボブ・リード)氏、Robert Ciardi(ロバート・チャルディ)氏、Jim Pallotta(ジム・パロッタ)氏、そして信じないかもしれないがNFL殿堂入りした49ersのRonnie Lott(ロニー・ロット)氏もいる。

上記の、そしてその他の投資家らはHalo Dxがケアを拡大・向上させるために取っているモデルと特異なアプローチの両方に大きな自信を示す力強い声明に名を連ねた。しかしながら、ここではあなたがそうしたサービスを利用する必要がないことを願う。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Halo Diagnostics資金調達

画像クレジット:Halo Dx

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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