真空調理器のスタートアップ「Nomiku」が事業閉鎖

2012年創業のNomiku「ノミク)は、お手ごろ価格の真空調理器をキッチンに届けてシリコンバレーの寵児となった。その年のKickstarterプロジェクトで75万ドル(約8200万円)集め、目標の20万ドルを大きく上回った。翌年はそのバックストーリーとともにTechCrunchでも大きく取り上げた

しかし米国時間12月14にち、同社は公式サイトおよび各ソーシャルメディアで事業の閉鎖を報告した。

残念ながら私たちに終わりがきたことを報告しなくてはなりません。Nomiku Smart CookerおよびNomiku Mealsの販売を直ちに中止し、業務を停止することをお知らせします。今もコンセプトは正しいと信じていますが、ビジネスを維持することができませんでした。みなさまのご愛好に感謝するとともに、私やNomiku社員全員にとって大きな意味があったことをお伝えします。

「フードテック業界の様相は以前と大きく異なっている」とファウンダーでCEOのLisa Fetterman「リサ・フェッターマン氏がTechCrunchに電話で語った。「フードテックとハードウェアがもっとホットで有望だった時期もあった。会社はいくつかの障壁や課題を乗り越えることができると私は思っている。私の場合は破滅的な結果になってしまった」。

NomikuはこれまでにKickstarterで総額130万ドル以上を集め、食品分野のクラウドファンディングで最高水準に達した。2015年にはY Combinatorに参加し、クッキングアプリのTenderを提供して有名シェフのレシピを公開した。

ある意味で、Nomikuは自分自身の人気の被害者とも言える。彼らは法外な費用のかかるクッキング技術を誰にでも買える値段にするイノベーションを起こし、その結果市場はライバルであふれた。

2017年にSamsung Venturesは、つながるプラットフォームのSmartThinkgsとの統合を目論んでNomikuに投資した。その年Nomikuは食事計画のサブスクリプションへのピボットを図ったが、思うようにいかなかった。フェターマン氏によると同社は最後まで資金調達を模索したが実現しなかった。

たとえ勇敢な会社と偉大な製品があっても、スタートアップの世界は容赦しない。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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