社内経費の不正検知が機械学習の次のターゲットだ

Security officer with hologram screens guarding binary code

【編集部注】著者のChris Baker氏は、英国企業Concurのマネージングディレクター。

映画Morganの予告編(史上初めて完全にAIによって制作され、それによってかなり有名になった)に対する人びとの反応はどのようなものだったろうか?

「不気味だったね」。

これは(SFスリラー映画の予告編としては)正しい反応だろう。今やコンピュータは書き、読み、学び、話すことができる。そして、一部の人たちは、こうしたボットをとても恐れている。彼らの仕事を奪い、最後には世界を支配し、人間を不要にしてしまうのでは、と(I, Robotのような映画はあまり慰めにはならない)。

結局、多くの人びとが不合理な恐怖を感じている。こうしたときは、サメのことを恐れている人の数を考えてみるのが良いだろう、実際のところ人はサメよりもBlack Friday(11月の第4金曜日。米国で最も買い物客でごった返す日)の買い物で死ぬ可能性が高いのだ。というわけで機械学習に関して言えば、ビジネスはそこから腰がひけた態度を取るべきではない、それを受け入れ、自らのために活用する必要がある。

これまでAIは、シリコンバレーの技術専門職たちだけがアクセスしていた代物だった;しかし最早そのようなことはない。技術の成長の広がり具合は、AlexaやSiriといったサービスボットやデジタルアシスタントが、どんどん洗練されて行く様子からも見て取ることができる。

Sift Science最近3000万ドルを資金調達した)のような会社が、機械学習と人工知能を、あらゆるオンライン不正の予測と防止に使う計画を立てていることは素晴らしいことだ。特にクレジットカードのイシュアと銀行は、機械学習による不正検知システムで年120億ドルを節約できるだろうというレポートを読んだ後では。

誰かがモニタリングを行いデータを賢く使っているという前提の下でのみ、テクノロジーは上手く働く。

私たちは、機械学習がすでに金融サービスの世界ではその価値を証明したことを知っている、よってそれが企業テクノロジーに手を貸さない理由はない。より具体的には、時の中に忘れられてしまったプロセス ‐ 退屈な経費処理である。

機械学習による光明

現状では、機械学習は怪しい経費を検出するためには使われて来なかった、しかし私たちは、それが程なく現実となる正しい方向へ向かっている。しかし、内部経費不正はどの程度のものなのだろうか?そして、ボットが検出する経費異常とはどのようなものなのだろうか?

ビジネスにとって困ったことに、怪しい経費はますます日常的なものになりつつある。そしてそれが企業利益に深刻な影響を及ぼしているのだ。政府から民間に至るまで、目立ったケースは引きも切らない。しかし、少し深く掘り下げてみると、私たちがConcurで発見したところによれば、従業員の23パーセントは経費のごまかしは許容されると考えていることがわかった、またFinancial Fraud Actionが2016年の前半に金融詐欺は15秒に1回行われているという報告も出している。

機械学習を、ビジネスの日常を救うために(そして怪しい経費処理を取り除くために)投入することは可能だろうか?

おそらくは。巨大なデータ群を分析し、パターンを発見するAIの能力は、仕事場の不正で必要とされている課題の解決の役にたつだろう。人間とは異なり、機械は二日酔いや不眠の影響を受けることがないので、ボットが怪しい見かけの経費を見落とす確率は、私たち人間が見落とす確率よりも低いものである。

これは、ファイナンスチームが無駄になると言っている訳ではない;その代わり、機械が力仕事を引き受けることで、彼らの仕事が少しばかり楽になるということだ。誰かがモニタリングを行いデータを賢く使っているという前提の下でのみ、テクノロジーは上手く働く。すなわち、ボットと人間の両者が必要だということだ。

しかし、一方で機械が正しいと決めたものを、単にそのとおりだと人間が仮定しないことも重要だ。これはまさしくStanislav Petrovが1983に行ったことである。このとき彼は、全自動コンピューターが検知した米国からの「ミサイルの飛来」に疑問を抱いた。定められていた手続きは核攻撃に反撃することだった ‐ しかしPrtrovは、彼自身の頭脳を使って、コンピューターが誤っているのだと考えた。そして世界を救ったのだ。

機械学習は、明らかな利点を提供する。仕事をあっという間に完了するというだけでなく、ファイナスチームをもっと重要な時間に振り向ける時間を生み出すことができる、そして威圧的なボットに対面すれば、人びとは使い古された「おっと、そのレシートは先週の日曜のランチの分がうっかり紛れ込んだんだ」といった言い訳を使うこともなくなるだろう。

私たちは既に、デジタルの世界で生きている。それは私たちのあらゆる生活の分野に見出すことができる。非接触支払いから、単純にオンラインで行う買い物まで。だから本当に、経理部門の最高の関心事は、旧態依然としたExcel文書を何か現代的世界にマッチしたものへと変えていくこのなのだ。この先避けられない事態がやって来たときに ‐ 機械学習検知システムが配備されていて、それらを扱うことを半ば助けられ、大混乱が起きないように。

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(翻訳:Sako)

投稿者:

TechCrunch Japan

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