社員のパフォーマンスを可視化する目標・評価管理サービス「HRBrain」が資金調達、正式版も公開

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半期、あるいは年に1回は上司と仕事の成果を確認し、人事考課を受ける人も多いのではないかと思う。社員にとっては昇給や昇格に影響する点で重要だが、会社にとっても配置転換などの人事戦略を立てるのに重要な指標となる。モスキートーンが提供する「HRBrain」は、社員の目標と評価をクラウドで一元管理するためのサービスだ。本日、モスキートーンはジェネシアベンチャーズとBEENEXTから数千万円規模の資金調達を実施したことを発表した。また、資金調達と同時にHRBrainの正式版も公開した。ちなみにジェネシアベンチャーズはサイバーエージェント・ベンチャーズの元代表取締役社長、田島聡一氏が新たに創業したベンチャーキャピタルで、モスキートーンへの出資が第1号案件となる。

HRBrainを利用するには、まず初めに組織の部署や役職、各社員の情報を登録する。社員の情報は1名づつ入力することも、エクセルシートをアップロードして登録することも可能だ。会社によって目標管理の方法は異なるだろう。HRBrainでは目標管理のためのテンプレートを用意していて、OKRや360度評価などに対応している(OKRは「Objective and Key Result:目的と主な結果」の意味で、グーグルなどで用いられている目標管理の手法だ)。

企業はテンプレートをカスタマイズして利用することができる。また、人事情報はセンシティブな内容を含むため、HRBrainでは被評価者に評価者のコメントなどを表示するかどうかや社員の評価結果の閲覧権限など細かく設定することができる。設定が完了したらあとは、期首に各社員が目標を入力して提出し、期末になったら担当者が評価を入力するサイクルを行う流れだ。

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OKR用の目標シート

 

モスキートーンのファウンダーで代表取締役の堀浩輝氏はサイバーエージェントのAmebaの事業部長を務めた経歴を持つ。そこで組織の目標管理の難しさを体験したのがHRBrainを開発したきっかけという。会社が小さいうちは紙やエクセルシートでも十分だが、50名以上の組織になってくると管理の手間が増えてくる。会社では人事異動で組織編成が変わることもあるが、紙やエクセルだと社員の過去の情報にアクセスしにくい。HRBrainはこうした人事考課の作業を効率化するために開発したと堀氏は言う。

社員のモチベーションアップに活かす

人事考課や目標管理の分野でサービスを提供するスタートアップには他にも人材周りでサービスを提供する「CYDAS」や社員の顔と名前を軸に置く人材マネジメントサービス「カオナビ」などがあるが、HRBrainの利点は人事データを活用できることと堀氏は説明する。HRBrainでは、クラウド上に集約した人事データを分析することで、例えば社員の自己評価と評価者からの評価の乖離が大きい社員を特定することができる。乖離の原因は社員の自己評価、あるいは評価者の評価が甘いケースなどがあるが、いずれにしろ被評価者と評価者の目標のすり合わせや評価基準の設定が十分にできていないことが考えられる。優秀な人材を正当に評価していないのなら社員のモチベーションを下がり、最悪離職することにもなりかねない。HRBrainのアナリティクス機能は部署ごとや社員ごとの視点からも、全社的な視点からも人事評価を見ることができ、 従業員の評価設計や適材適所の配置転換、育成計画といった人事戦略に役立てることができると堀氏は言う。

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HRBrainのアナリティクス機能

モスキートーンは2016年3月に創業し、スタートアップアクセラレーター「TECH LAB PAAK」の第5期の参加企業だ。2016年9月に開催された「TECH LAB PAAK」のデモデイではTechCrunch Japan賞を受賞した。HRBRainは2016年11月からベータ版をリリースしていて、すでに十数社が利用しているという。HRBrainは本日、正式版をリリースした。料金体系はユーザー数別の従量課金モデルで、1ユーザーあたり600円から900円だという。

「会社にとって重要なのは社員のパフォーマンスであり、多くのことは社員のパフォーマンスを引き出すための手段です」と堀氏は話す。HRBrainでは一番重要なパフォーマンスを測り、それを他の指標を比較することで社員のスキルやカルチャーフィット、モチベーションが分かるようにしたいと堀氏は言う。HRBrainで社員のパフォーマンスの領域を抑えたら、ゆくゆくは周辺領域である労務管理や給与管理にも展開していく計画だと堀氏は話している。

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。