移住者が急増するテキサス州オースティンの住宅問題を解決するスタートアップ「Homebound」

莫大な数の人々が米国全土からテキサス州オースティンに移住している。中でもサンフランシスコ・ベイエリアからの移住が最近見出しを賑わしている。

続いている移住の結果、起きていることの1つが住宅費の急騰であり、需要の増加と2021年になってほぼゼロに近くなっている空き物件の少なさが原因だ。そこへやってきたのが、カリフォルニア州サンタローザ拠点のテック系住宅建設のスタートアップHomebound(ホームバウンド)だ。既存住宅購入の代替手段を提供して、この街の悩みを解決すべくオースティン市場に参入した。

Homeboundはここ数年に約7300万ドル(約79億5000万円)の資金を、Google Ventures、Fifth Wall、Khosla、Sound Ventures、Atomic、Thrive Capitalなどから調達している。2020年4月に3500万ドル(約38億1000万円)のシリーズBを完了し、2020年末には2000万ドル(約21億8000万円)の転換社債を発行した。CEOのNikki Pechet(ニッキ・ペシェ)氏とAtomicのマネージングパートナーであるJack Abraham(ジャック・アブラハム)氏が2017年に同社を設立した。アブラハム氏が山火事で自宅を失った後のことだった。

Homeboundは、実質的に仮想ゼネコンの役割を果たし、IT技術と「厳選された」資格のある建築「専門家」のネットワークを組み合わせて、新しいかたちの住宅建築を設計から完成まで管理する。同スタートアップは住宅建築に関わる数百にわたる作業項目を追跡・管理するツールを開発した。

これまでHomeboundは、カリフォルニアの山火事の後にホームオーナーが住宅を立て直す際の課題や複雑さを支援することに焦点を当ててきた。しかし2021年4月、Homeboundは自身初の非災害地市場であるオースティンに進出した。住宅再建で培ったカスタム住宅建築のための「テクノロジーを駆使した合理的なプロセス」を、選択肢の1つとして地域のホームオーナーに提供することを狙いとしている。

HomeboundのCEO・共同ファウンダーであるニッキ・ペシェ氏に詳しく話を聞いた。

Homeboundは「次世代」の住宅建築業者として「誰もがどこにでも家を建てられる」ようになるための会社だと、彼女はいう。

オースティンの住宅市場は間違いなく過熱しており、住宅価格は10~30%値上がりしている例もある(私にはわかる、ここに住んでいるから)。

「ホームオーナーは全米から私たちに連絡をしてきて、自分たちの地域に来てくれと頼みます」とペシェ氏は言った。「すでにオースティンは、かつての当社の市場よりも早く成長しています。当社にとって巨大な市場になりつつあります」。

これは、ペシェ氏がマイアミ、タンパ、レイリー、シャーロットなど同じような住宅供給問題を抱える他の都市でも再現しようと考えているモデルだ。

「これは始まりにすぎません」とペシェ氏は言った。「私たちはこのプラットフォームを全米の市場に広げて、この同じ問題を解決するお手伝いをします」。

同社はまず、住宅希望者が自分で家を建てる土地を選ぶのを助けたり、Homeboundがすでに準備した在庫から探すのを手伝う。そこから、建築計画から設計、実際の工事にいたるまですべてを同社のプラットフォームが支援する。Homeboundは、いくつかの用意したプランから客に選ばせ、さまざまなレベルのカスタマイズを行う。

オースティンの典型的一家族用住宅の建築費用は30万ドル(約3270万円)程度からで、大きさ、家の複雑さ、ロットサイズ、地域によって異なる。土地の価格は含まれていない。既存の持ち家の土地に2軒目を建てる人もいる。

「現状多くの場合、既存の住宅を買うよりも安く新しい家を建てることができます」とペシェ氏はいう。

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画像クレジット:Homebound

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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