空室状況や賃料から気になるシェアオフィスを検索・比較できる「JUST FIT OFFICE」が正式公開

近年国内でも「シェアオフィス」や「コワーキングスペース」をオフィスとして継続利用する企業や個人が増えている中で、通常の賃貸物件と同じように空室状況や賃料などの条件を比較したいというニーズも高まってきている。

4月のベータ版ローンチ時に紹介した「JUST FIT OFFICE」は、まさにそういった要望に応えるシェアオフィスの情報メディアとして始まったプロダクト。同サービスは本日10月21日、機能面などを拡充するとともに、新たにオフィス仲介会社向けの物件データベース機能を搭載する形で正式にサービス提供をスタートした。

新しくなったJUST FIT OFFICEでは引き続き「シェアオフィスを探すエンドユーザーの課題を解決するメディアとしての側面」を保持しながら、「仲介会社が使えるシェアオフィスデータベースとしての役割」も担うプラットフォームを目指していくことになる。

まずはメディアについて。これは以前も紹介した通りとてもシンプルで、シェアオフィス物件の空き情報や賃料、その他条件などに基づき検索・比較できるというものだ。シェアオフィスでは個室ごとに広さや賃料が異なる場合も多いが、各個室の条件を即座にチェックできるのも特徴。「検討リスト」を使えば複数物件を横並びで比較することも可能だ。

4月時点では東京エリア限定で40施設ほどが対象になっていたけれど、現在は200施設まで拡大。エリアも東京を中心に神奈川や大阪、福岡などに広がった。サービス開発元のユースラッシュで代表取締役を務める内山裕規氏の話では、年内を目安に全国までカバーしていく予定だという。

複数物件を横並びで比較できる検討リスト機能

また本日より登録済みの各シェアオフィス側が自ら空室状況や賃料などをリアルアイムに更新できるように変更(これまでは運営側が対応)。これによってユーザーはより正確な情報を調べられるようになったほか、今後は気になる物件が見つかればオンライン上から日時を指定して内覧を予約できる機能も開発していく計画だ。

このようなメディア側のアップデートに加えて、今回からオフィス仲介会社向けの機能も加わった。これは内山氏の言葉を借りれば「賃貸物件におけるREINS(レインズ)のように、シェアオフィスの情報を整理した物件データベース」だ。

「シェアオフィス側に空室情報や賃料を更新してもらうことで、結果的にシェアオフィスにおけるREINSのようなデータベースを作ることができる。メディアを通じてこれらの情報を検索・比較できるサービス自体も日本にはこれといったものがなかったが、せっかくデータがあるので、仲介会社に対しても何か新しい価値を提供できないかと考えた」(内山氏)

内山氏によると、特に都内ではオフィス物件の空室率がかなり限られていることなども影響して、仲介会社に対してシェアオフィスの問い合わせが増えているそう。ただし仲介会社の視点ではただでさえ情報が整理されておらずリサーチに時間がかかる上に、「成約時に賃料の1ヵ月分を成功報酬としてもらうビジネスモデル」では賃料の低い小規模なシェアオフィスを紹介するのはコストパフォーマンスが合わず、そこに課題があったという。

JUST FIT OFFICEでは仲介会社の担当者が顧客の要望を伝えるだけで、それに該当するシェアオフィスのリストを生成する仕組みを構築。リストはWeb上のページになっているため、担当者はリンクを送るだけで顧客に物件を紹介できるだけでなく、制約に至った場合には50%の報酬を得ることもできる(残りの50%はJUST FIT OFFICEの取り分となる)。

すでに大手仲介会社で一部利用がスタートしていて、実際に問い合わせが発生しているそう。ちなみにリストの作成は今のところ「人と機械の組み合わせ」で対応しているが、ゆくゆくは全自動化も見据えて機能強化を進めていくという。

「シェアオフィス側も仲介会社に取り扱ってもらえずなかなか空室が埋まらなかったり、仲介会社に担当してもらえる場合にもメールや電話での問い合わせに都度対応するなど、負担が大きかった。自分たちのプラットフォームでは必要なのは物件データベースを日々更新するだけ。人的リソースに限りがあるようなシェアオフィスでも、顧客の接点を広げるサービスとして使ってもらいたい」

「またシェアオフィスを探すユーザーとしても、今まで仲介会社に相談しても断られてしまったり、ある種『たらい回しにされる』ようなこともあった。そういったシェアオフィス探しにまつわる様々な課題を解決できるプラットフォームを目指していく」(内山氏)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。