空調の改修不要、低コストで新型コロナの室内感染を防ぐCurran Biotechの新しいナノコーティング

Curran Biotechが開発した新しいナノコーティングは、新型コロナウイルスの室内への拡散を防ぐための空気ろ過を劇的に改善する可能性がある。

同社の「Capture Coating」技術は、家庭用または商業用のHVAC(空調)システムの補助的な役割を果たし、フィルターの繊維に結合して疎水性を高める。この複合的な効果により、ウイルスを運んできた飛沫がフィルター繊維を通過するのを防ぐことができるという。処理をしていない場合、防げるウイルス感染は一部にすぎない。

Curran Biotechの創業者でヒューストン大学の物理学教授であるShay Curran(シェイ・カラン)博士はメールでこう述べている。「『Capture Coating』は、従来のエアフィルターを通過して再循環する可能性のある、ウイルス粒子キャリアとして作用する水性呼吸器飛沫に対して、通気性、柔軟性、非浸出性、撥水性のあるバリアを形成することにより、特定のエアフィルター媒体を介した新型コロナウイルスの感染を緩和し、大幅に減少させるように設計されています」。コーティングの分子構造は複雑だが、製品自体はHVACシステムのフィルターにスプレーするだけでよい。

この飛沫をターゲットにした新しいコーティングは、乾いた分子だけをターゲットにする現在のろ過方法を改善するものだ。それらの方法では、少なくともいくらかウイルスの飛沫感染の可能性があるだけでなく、それを改善する既存のソリューションは、必ずしもエネルギー効率が良いとはいえない。

「昨今のエネルギー管理が非常に重要な世界では、クロスコンタミネーション(交叉汚染)のリスクをともなう建物内の同じ空気をリサイクルすることになります」とカラン博士は書いている。「外気を取り入れるのは空気を希釈する1つの方法ですが、それはエネルギー面でも大きな損失となり、人が集まる場所からウイルスを取り除くという問題も解決できません」。

屋内空気の換気は、学校や中小企業などの公共施設における新型コロナウイルスの蔓延を緩和するための重要な手段だが、古いHVACシステムをCDC(米国疾病予防管理センター)の推奨基準に合わせて改修するにはコストがかかる。カラン博士は、Capture Coatingがこの問題の解決に役立つことを期待している。「数ドルのコストで、標準的なMERV8のフィルターに使用するだけで、室内を強力に保護し、建物全体への拡散を防げるということです」と彼はいう。

ナノコーティングの性質上、Curran Biotechの技術は新型コロナウイルスのパンデミックが終わった後もウイルスの飛沫感染を防ぐことができる。コーティングの疎水性により、くしゃみや咳などの呼吸器系の飛沫がフィルターを通過するのを防ぎ、HVACシステム自体は通常の乾式分子ろ過の機能を維持する。Capture Coatingを使用することで、インフルエンザや風邪などの一般的な飛沫感染ウイルスも循環から排除されるという。

同様に、新型コロナウイルスの亜種もすべて飛沫感染するため、このナノコーティングはそれらの感染を防ぐのにも役立つ。カラン博士は「手洗いやマスクの着用などの予防措置が不要になるわけではありませんが、屋内での作業をより安全に行うことができるようになります」と書いている。

Curran BiotechのCapture Coating技術はこれまでに米国の11の州で使用されており、近々、コーティングされたフィルターを消費者に直接提供するために、流通業者やフィルター会社との提携を発表する予定だ。カラン博士は、ニューヨーク市でもこの技術の試験が成功しており、これから米国各地の企業や機関での使用をさらに拡大したいと考えていると述べた。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:Curran Biotech新型コロナウイルス

画像クレジット:Courtesy of Curran Biotech

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(文:Sophie Burkholder、翻訳:Aya Nakazato)

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TechCrunch Japan

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