空飛ぶクルマ「ASKA」でNFT Inc. が都市と郊外の在り方を新たなものに

ここ数年、多くのスタートアップが空飛ぶクルマを市場に投入すると約束してきたが、現在のところこれを実現した企業はまだない。NFT Inc.は他社が実現し得なかったことを達成すると表明し、米国時間4月15日から、同社の最初の電気空中移動車であるASKAの先行予約を開始した。

SUVサイズのASKA(日本語で「飛ぶ鳥」の意味)は、空飛ぶクルマ、というよりは路面走行可能な飛行機というほうが正しいかもしれない。6つあるロータを完全に格納した時でも、ASKAの外見はまぎれもなく飛行機のそれである。フロントグラスはヘリコプターを思わせる丸みのある形状で、後部には、飛行機に乗ったことのある人なら誰でも知っている特徴あるテールがついている。

NFTは、一般消費者の空中移動車の使用に対応する安全規制および交通規制が2026年までには整備されると予測しており、それまではASKAの納入を行わない予定である。同社の広報担当者はすでに先行予約で注文が入り始めていることを認めており、値段は操縦トレーニングも含め、78万9000ドル(約8600万円)となっている。

消費者向け空中移動車を最初に市場に投入した会社となることは、野心的な目標である。NFTは、同社の後ろ盾である資金提供者を公表することは拒んだが、先行予約に必要な5000ドル(約55万円)は、100%返金可能だと述べた。

NFTの共同創設者であるGuy Kaplinsky(ガイ・カプリンスキー)氏と Maki Kaplinsky (マキ・カプリンスキー)氏は TechCrunchに、 ASKAをはじめとする空中移動車は、都市と郊外の生活を根本的に変えることになるだろう、と語った。

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ガイ・カプリンスキー氏が「これにより都市のダイナミクスは変化するでしょう」と述べ、マキ・カプリンスキー氏は「空中移動車の出現で郊外と農村地域の在り方は変わり、富は周辺地域に移行するでしょう【略】そしてそれは周辺地域の郊外に住む人々にとって非常に興味深いものになると確信しています」と付け加えた。

どういった変化が起こるかは簡単に想像がつく。超富裕層は、都市生活やそれにともなう交通パターンの束縛から逃れ、郊外といわず、さらに遠くに居を構えることができるだろう。ASKAの航続距離が250マイル(約400km)であることを考えると、彼らは必要な時、あるいはそうしたい時だけ、都市に飛んでくることが可能になる。

共同創設者の2人によると、ASKAが他の競合他社製品と違うところは、ASKAを運転するために空港へ行く必要がない点である。同様に、規制当局も郊外の空中移動車ユーザーがどっと空港になだれ込むことを心配する必要がない。NFTでは、ASKAをドア・ツー・ドアの乗り物として設計してきた。ユーザーに必要なのは、ウィングとローターブレードを広げるためのスペースだけである。ASKAは従来の飛行機のように滑走路を使って離陸することも可能だが、ヘリコプターのように垂直離陸することもできる。ガイ・カプリンスキー氏によると、滑走路を使った離陸のほうがエネルギーがかからないため、ユーザーはスペースのある郊外では滑走路を使い、都市では垂直離陸を選択するだろうと考えている。

それぞれのローターには、個別のバッテリーパックが装備されるが、NFTでは冗長性を確保するため、ガソリンで動力を供給するレンジエクステンダーを2つ設置することも決定した。ASKAの2つのミドルローターはウィングとしての役割も果たし、緊急時には滑空をサポートする。

「ASKAユーザーのほとんどは、新米パイロットということになりますから、当社では安全を第一に考えています。現在のところ、問題は(バッテリー)セルです。化学電池開発者で、その製品が空中で故障しないと断言する開発者はどこにもいません。したがって当社ではそのようなリスクを取ることはできません」。とガイ・カプリンスキー氏。彼によると、ASKAは将来的に全電気式製品になる可能性があるが、それはバッテリーテクノロジーに左右されるとのことである。

ASKAは、従来のガレージやガレージ前のスペースに保管できるコンパクトなサイズで、電気自動車用に設置された充電ステーションで充電できる製品になる。一部の電気自動車メーカーと同様、ASKAはサードパーティーによる半自律型テクノロジーを搭載する予定だ。「当社がターゲットにしているお客様にはプロではないパイロットも含まれるため、半自律型テクノロジーである程度のコントロールができるほうが、完全自律型の「ロボット」のような車に乗っているよりも、快適であると確信しています」。と同社の広報担当者はTechCrunchに語った。仮に規制当局が将来のある時点で完全自律型テクノロジーの使用を許可したとしても「多くのお客様は、半自律型である程度の操縦ができることを望まれると考えます」と彼は付け加えた。

またNFTは、4月15日にオープンするカリフォルニア州ロスアルトスのASKAショールームを通し、購入体験を新たなものにしたいと考えている。同社の顧客はショールームで空気力学や操縦装置の専門家と話すことができる。また先行予約で最初の1500人に入った顧客は、NFTの株式を一株付与され、同社が「創設者クラブ」と呼ぶものに加入することになる。クラブのメンバーになると、同社の幹部に3カ月から6カ月ごとに会うことが可能だ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:NFT Inc.飛行機eVTOL

画像クレジット:NFT Inc.

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(文:Aria Alamalhodaei、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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