米アマゾンがプライム会員向けAmazon Fresh使用料を無料に

Amazon(アマゾン)は、Walmart(ウォルマート)やPostmates(ポストメイト)のような配達会社との競争にさらされているサービスをより魅力的なものにしようと、グローサリーの分野、特に配送を再びテコ入れする。米国時間10月29日、米国とその他の国の2000都市で提供している生鮮品配達サービスであるAmazon Fresh(アマゾン・フレッシュ)のプライム会員向け使用料を無料にすると発表した。これまでは月14.99ドル(約1600円)の料金を課していた。

配送の無料化とともに、Amazonは急いでいる人のために1時間内配達と2時間内配達のオプションも提供する。Amazon自前のブランドサービス、そしてAmazon傘下のWhole Foods(ホール・フーズ)の買い物配達でもこのオプション配達サービスは引き続き利用でき、こちらも無料となる。このサービスを利用してみたいと考えているプライム会員はここでサインアップして、招待されるのを待つ必要がある(ウェイトリストについてAmazonは「グローサリー配達の急成長を考えたとき、人気のあるサービスになることが予想されるため」と説明した)。

「プライム会員はAmazonでの無料グローサリー配達という利便性が大好きだ。だからこそ我々はプライム会員向けに月14.99ドルの料金を廃止して、Amazon Freshを無料で利用できるようにした」とグローサリー配達VPのStephenie Landry(ステファニー・ランドリー)氏は声明文で述べた。「グローサリー配達はAmazonにおいて最も急速に成長しているビジネスの1つで、プライム会員特典で最もメリットを感じてもらえるものになると考えている」。

Amazon Freshの無料化は、Amazonがグローサリーサービスの利用を促進するための最新の価格戦術だ。と同時に、これは一般消費者をプライム会員に誘うものでもある。14.99ドルの料金は2016年に導入された。これはAmazonがAmazon Freshの顧客に課していた年299ドルの料金から減額されたものだ。それ以前は、年間99ドルの料金に加えてサービスを使用するごとに配送料がかかっていた。

どれくらいの人がAmazon Freshを利用しているのか、そしてこのサービスが現時点で儲かっているのか明らかではない。ただ、アナリストは今年初め、スーパーマーケットチェーンのWhole Foodsを傘下に収めているにもかかわらず、Amazonのグローサリーサービス事業が成長している一方で、その成長は減速していると予測した(加えて、Amazonがサービスをシンプル化し、食品や飲料のコストを減らす方策を模索する動きがあった)。

にもかかわらず、1年ほど前、別のレポートでは米国のグローサリー配送全体の3分の1をAmazonが占めているとされた。

グローサリー配送は扱いにくいビジネスだ。商品が腐敗するため、本や衣類、家電を配達するよりも気をつかう。しかし正しく行えば、継続的な収入につながることが多い。加えて、Amazonは迅速かつ無料の配達で、他のオンラインショッピングを利用したり、実在店舗(Amazonも同様に拡大するかもしれない)に足を運んでいた多くの消費者をひきつけた。

言い換えると、収益をあげていよういまいが、Amazonがグローサリー配送サービスの強化に投資するのは理にかなう。無料で利用できるようにするのはおそらく最大の強化策だ(次段階はキャッシュバックかも?)。

簡単に言うと、同社のスケールメリットアプローチに沿う場合、より多くのユーザーがより多く買い物するようになり、損失を帳消しにするマージンを後に稼ぐことになる。

しかし配送を無料にするという動きは、サービス利用者の数を増やすだけではないAmazonの昔ながらのやり方だ。無料というのは、すでに毎月12.99ドルを払っているか、Amazonプライム会費として年間119ドル払っているかしている人が対象となる。

同社は、オンライングローサリーショッピングと配送を手がける同業他社との絶え間ない競争に直面している。英国では、大手グローサリーチェーンのほぼ全てが直接(あるいはAmazon以外のパートナーを通じて)サービスを提供している。そして米国ではWalmartが先月、年間98ドルで無制限に配送を利用できるサービスの拡大を発表したばかりだ。今日までこのサービスはAmazonよりも安いものだった。PostmatesとDoordashもまたこの分野に風穴を開けようという野心を持っている。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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