米下院の委員会は暴力的な陰謀論を推進した議員を除名処分に

米下院の民主党は先の選挙で初当選したジョージア州選出議員Marjorie Taylor Greene(マジョリー・テイラー・グリーン)氏について、暴力的反民主主義時に反ユダヤ主義の陰謀論を支持したとして、所属委員会から除名する決議を採択した。

グリーン氏はさまざまな驚くべき陰謀の支持を展開した。ここには、17人が殺された2018年のパークランドでの高校銃撃事件は「やらせ」だった、というものが含まれる。そうした主張は、下院教育委員会からグリーン氏を除名するよう2つの教職員組合からの要望につながった。教育委員会はグリーン氏に割り当てられた委員会の1つだ。

所属委員会からのグリーン氏除名の決議採択は党の基本方針に沿って割れ、ほとんどの共和党員が決議反対に回った。一部の共和党員はグリーン氏の過去の言動を非難しながらも同氏を擁護して反対票を投じた。

下院がかなり異例の決議採択に動いた一方で、グリーン氏はQAnon(Qアノン)信奉は過去のものだと主張した。

「私は選挙運動中に『QAnon』と言ったことは一度もありません」と同氏は米国時間2月4日に述べた。「選挙運動中、今日非難されているようなことを一度も口にしていません。議員に選ばれてからこうしたことを言っていません。これらは過去の言葉です」。

しかしDaily BeastのWill Sommer(ウィル・ソマー)氏は12月に削除されたツイートでグリーン氏は明確にQAnonを擁護し、非難の矛先をメディアや「ビッグテック」に向けている、と報じた。

最近明らかになった2019年1月の投稿では、グリーン氏は下院議長Nancy Pelosi(ナンシー・ペロシ)氏の頭に銃弾を、FBI当局に処刑を求めるオンライン上のコメントに賛同の意を示していた。

グリーン氏はまた、人種差別主義で反イスラム、反ユダヤ主義的な考えをFacebook(フェイスブック)のビデオで堂々と共有していた。この記録により、共和党下院のマイノリティリーダーであるKevin McCarthy(ケビン・マッカーシー)氏は2020年6月、グリーン氏の声明は「ぞっとする」と非難するに至った。

グリーン氏は2020年11月の選挙で、同氏の対抗馬Kevin Van Ausdal(ケビン・ヴァン・オースダル)氏が個人的な理由で脱落した後、ジョージア州北西部の保守的な地区から選出された。グリーン氏は同年8月に57%の票を獲得して共和党の候補者に選ばれていた。

危険な陰謀説を唱えるQAnonは、死者を出した2021年1月の議会議事堂暴動で存在を示し、その日撮られた写真にはQAnonのシンボルや言葉が散見された。2019年にFBIの公報は、QAnonの「陰謀論によって突き動かされている国内の過激派」とのつながりを警告した。1年後、そうした過激な考えを支持した、少なくとも1人が議会の議席を獲得した。

グリーン氏の信念と議事堂で暴動を起こした暴力的なトランプ支持者の考えのオーバーラップは、議員の間で緊張を高め、議員の多くは議事堂で暴行が繰り広げられるなかで命の危険を感じた。

政策や協調体制の構築に対して明白な意欲に乏しい新米議員のグリーン氏が下院で立法の力を振るうとは考えられていなかった。しかしQAnonとそれに近い陰謀論が過激な考えを持つ一部の人たちという存在から主流派になり、再登場することも考えられ(軌道は主にソーシャルメディア企業の任意の判断によって描かれる)、グリーン氏の議会での扱いは、現実世界の暴力に波及する能力を示した以上の危険なオンライン上の活動が何をもたらすのかを発信することになる。

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(文:Taylor Hatmaker、翻訳:Nariko Mizoguchi

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