米国の人気TVドラマ「ロー&オーダー」のインタラクティブ版を提供するSolveが約22億円を調達

20年間続いたTVドラマ「ロー&オーダー」が2010年に終了したとき、すでにそれは歴史上最も長く放映されたTVドラマの記録を樹立していた。その成功は、良質なミステリーの人気が衰えないことを証明するものともなった。

その路線に従い、同じ推理ドラマの需要の井戸を約1年掘り続けてきたロサンゼルスを拠点とするスタートアップであるSolve(ソルブ)は、新世代のメディア消費者向けにこのジャンルをアップデートしようと2000万ドル(約22億円)の資金を調達した。

社名と同じタイトルのソーシャルメディア向け番組はInstagramとSnap(スナップ)で楽しめるが、番組を配信し始めてから1年半でおよそ3000万件を超えるインタラクションを獲得した。今、Solveでは、急成長が見込まれる市場への入口となるラジオ局運営企業であるiHeartMedia(アイハートメディア)とApple(アップル)のプラットフォームで、ノンフィクションの犯罪物語をポッドキャスト配信しようと準備している。

当初Solveは、Vertical Networks(バーティカル・ネットワークス)というモバイル向けの娯楽番組制作スタジオでドラマシリーズとして作られていた。同社は、Tom Wright(トム・ライト)氏が舵を取り、Elisabeth Murdoch(エリザベス・マードック)氏 、ライト氏も経営に加わっているマードック氏のFreelands Ventures(フリーランド・ベンチャーズ)のファンドとSnapからの資金で運営されていた、モバイル用コンテンツの制作スタジオとして資金調達を行った先駆け的な企業だった。だが、モバイル中心の娯楽で儲けようという企業は、ほかにもたくさんあった。インターネット時代の大手メディア企業はみな独自のモバイル戦略を掲げている。

しかしマードック氏は、Solveを企業として独立させる仕事に専念させるためライト氏を更迭し、2カ月前にオンラインメディアのスタートアップWhistle(ホイッスル)に非公開の金額でVertical Networksを売却した。

「私は1年間、SnapとFacebookでのリスナーの動向データを深く、深く、深く観察しました」とライト氏。「(リスナーの)感性だと私が思っていたこのDNAが指し示す方角が、この形式だったのです」。

Vertical Networksが小さくなっていくのと同時に、Solveは、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)、Upfront Ventures(アップフロント・ベンチャーズ)、Advancit Capital(アドバンシット・キャピタル)からの支援で勢いを増していった。

「メディア全体では、人気の高い犯罪ミステリー番組が驚くほど多く観られています。ポッドキャストの「Serial」や「Dirty John」、TV番組の「Making a Murderer」や「ロー&オーダー」、映画では「ユージュアル・サスペクツ」や「ゴーン・ガール」などです」と、Lightspeed Venture PartnersのパートナーであるJeremy Liew(ジェレミー・ルー)氏は声明の中で述べている。「ゲームはメディアとして第一級の地位を獲得しましたが、犯罪ミステリー形式のゲームはまだ同じような成功を収めていません。Solveが、その間違った状況を正してくれます」。

Solveのエピソードが、モバイル機器でソーシャルプラットフォームを利用しているオーディエンスの共鳴を生み出すゲーム要素は、シリーズの初期では控えめになっているとライト氏は言う。しかし今後は、そのインタラクティブ要素は拡大されていく予定だ。

iHeartMediaで「Blackout」や「Carrier」などを制作していたSalt Audio(ソルト・オーディオ)と共同で作られる10話からなる30分ドラマのシリーズでは、同じ「実際の事件を題材にした」物語形式がとられており、リークした音声ファイル、ボイスメール、法廷での証言、その他の証拠の提供を受けて、リスナーは殺人犯の割り出しに挑戦できる。

今のところSolveは、AppleやSnap、Facebook、iHeartMediaその他のプラットフォームでスタジオ制作の広告入りの番組を流すメディアという立場に満足していると、ライト氏は話す。これは、モバイル向けに番組を提供する専用のストリーミング・サービスを持ち、ハリウッドにある数々のメジャーなスタジオから支援を受けているQuibi(クイビー)などの制作スタジオとは異なる路線だ。

現在のペースから計算すると、Solveは毎月18本のオリジナルエピソードを制作することになる。40歳のライト氏にとって、Solveはスタートアップ界での4度目の挑戦となる。彼自身は犯罪ものやミステリーのファンではないが、エンゲージメントに関連するデータを見れば、そこにビジネスを立ち上げないわけにはいかなくなるとライト氏は話していた。

「インターネットは、タクシーからニュースから買い物まで、世界と私たちの関わり方に変革をもたらしました。私たちは、Solveもドラマとの関わり方を根本的に変えるものだと信じています」と、Upfront VenturesのMark Suster(マーク・サスター)氏は声明の中で述べている。「ただ見るだけではなくて、犯罪の謎を「Solve(解く)」ことが求められる短編動画というトムのビジョンを聞いたとき、そこには膨大な可能性があると感じました」。

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(翻訳:金井哲夫)

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TechCrunch Japan

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